30代までの課題、若手は仕事の“型”を身に付けるべき吉田典史の時事日想(2/3 ページ)

» 2011年07月01日 08時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]

「業績」だけで評価が決まる会社はない

 このような仕事の「型」は業界や職種、会社の規模などにより違うが、ある程度の数をマスターしないと、仕事の質を高いところで維持していくことは難しい。この「型」は「行動」という言葉に置き換えてもいい。例えば、上司への報告で言えば次のようなものである。

  • 報告はその日のうちにする
  • 報告は結論から、その次に経過、最後に自分の意見を分けて話す
  • トラブルの報告こそ迅速にする

 これらは大企業の人事評価で言えば、「行動評価」のガイドライン(会社によっては「指針」などと呼ぶ)に当たる。大多数の企業は「成果主義」と言いながらも、例えば、営業部で言えば契約高のような数字だけで評価が決めることはしない。

 特に社員数200人規模以上の会社になると、評価を「業績」だけで決めることはないと断言できる。通常は、次のような3つの評価基準で社員の優劣を決める。これは、大手メーカー(社員数3700人)の非管理職を評価するものである。カッコ内の数字は、比率を意味する。

  • 業績評価(20%)
  • プロセス評価(30%)
  • 行動評価(50%)

 「業績」はまさに数字であり、営業部で言えばその期間内における契約高、契約件数などだ。「プロセス」とは、仕事をしていく上での姿勢などを意味する。例えば、担当する地域の会社をその期間でどのくらい訪問し、どのような状況になったかといったこと。「行動」とは、前述の上司への報告もあれば、周囲の社員へのサポートや企画提案の提出本数や内容などを含む。

 カッコ内の数字は比率を表しているが、それぞれの数字をよく見てもらいたい。このメーカーは行動評価が50%と、3つの中で一番高い。反対に業績が20%と最も低い。ここからは人事部が半年〜1年という目先の数字より、日々の仕事をしていく際の行動を重視していることが分かる。経営的に余裕があり、時間をかけて丁寧に人を育成していることも見えてくる。

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