FXには月に一度、“お祭り”があるのを知っていますか?南はるなのFXのヒミツ(1/2 ページ)

» 2011年07月01日 08時00分 公開
[南はるな,Business Media 誠]

著者プロフィール

南はるな(みなみ・はるな)

株式会社マネックスFXでマーケティング部長を務める。アパレル業界でファッションを学んだ後、しばしの海外生活中に利用したインターネットの利便性に衝撃を受け、帰国後の2001年にアマゾンジャパン株式会社に入社。カスタマーサービス部門を経て、マーケティング部に異動。アフィリエイト・プログラムの運営など、オンラインマーケティング業務に従事。2009年にマネックスFXに入社、同年10月より現職。主にマーケティング企画やPRを担当。金融初心者である自身の経験を踏まえ、初めて投資を検討する人にも分かりやすい情報提供を行うべく、日々奮闘中。


 FXの世界に“お祭り”があることをご存じでしょうか? FXトレーダーなら誰もが知っているビッグイベント――それは通常第1金曜日に発表される米国の雇用統計。米国雇用統計とは米国の業種部門別の就業者数や失業率を、労働省がとりまとめ毎月発表しているもの。米国の景気動向がもっとも色濃く反映される重要指標で、金融政策に密接に関わっているだけに、実は為替市場だけでなく株式や金利などのマーケットからも注目されています。

 現在、為替相場が変動する2大要因といえば「米国の景気動向」と「ユーロ圏における高債務国(ギリシャなど)の信用不安」。米国またはユーロのマイナス材料が出続けている状況においては、“不美人投票的”に日本円が買われて円高につながります。ですから、FXトレーダーならずとも米国の景気動向に注目しておいて損はないと思います。

為替市場のダイナミズム

 米国雇用統計で発表される10数種類の指標のうち、最も重要視されている2つの指標を簡単にご紹介しましょう。1つめは「非農業部門雇用者数」。これは全米の30万以上の非農業部門に属する企業や事業者の給与支払い帳簿をもとに就業者数の増減を集計したもの。NFP(Non Farm Payroll)またはPayrollと呼ばれています。2つめは「失業率」。これは労働省が各家庭にヒアリングした就業状況をもとに「失業者数÷労働力人口×100」で算出されます。失業者数は、「失業中」と回答されたうち、就業可能であって過去4週間以内に求職活動をしたものをカウントします。

 最初に米国雇用統計が月に一度の“お祭り”のようなものと書いた理由は、これらの数値がアナリストの事前予想から大きく乖離(かいり)した結果となった場合、為替レートが大きく変動することがあるからです。例えば、2011年6月3日に発表された5月の雇用統計の結果によって、為替レートがどう動いたのか見てみましょう。

 NFPは、2011年1〜4月までは着実に伸びていて、5月には一旦減速するものの、前月比で16万人程度の増加になるだろうと予想していました。しかしNFPは期待を大幅に下回る5万4000人増。また失業率は前月の9.0%から8.9%に好転すると予想されていながら、結果は9.1%にとどまりました。そうした結果を受けて、発表直後に米ドルの価格は対円で80円台後半から前半まで急落しました。

(出典:マネックスFX)

 このように相場が大きく動く可能性のある雇用統計発表時を、「収益獲得のチャンス」ととらえて活発に取引を行う人もいれば、「動きを予想しにくい相場となるため、あえて取引しない」という人もいます。いずれにせよプロ・アマ問わず、世界中のトレーダーが指標の結果に瞬時に反応している様子は、為替市場のダイナミズムをそのまま表わしているともいえます。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.