東京電力株は暴落途中で売り抜けられなかったのか?誠 Weekly Access Top10(2011年6月18日〜6月24日)(2/2 ページ)

» 2011年06月30日 14時56分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]
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配分ルールを熟知しよう

 そして問題は「配分された買い注文を、証券会社が投資家の売り注文にどう割り振っていくか」である。

 ネット証券最大手のSBI証券の場合、配分された買い注文を1単位ずつ売り注文と合わせていくのだが、この際、成行注文かつ発注時間が早い売り注文ほど優先されるというルールがある(すべての売り注文に1単位を割り振ったら、同じ順番でまた1単位を割り振っていくということを繰り返す)。

 コールセンターによると、SBI証券では当日の6時30分までの注文はすべて6時30分として扱うということなので、3月14日に「ストップ安の価格でもいいから東京電力の株を絶対に売りたい」と思っていた人は、3月14日の6時30分までに成行売りの注文を出しておけば取引が成立する確率が高まったということになる。場の気配が見える8時台になってから注文を出しても遅いし、大引け間際になってあわてて注文を出しても手遅れなのである。

 こうすれば少なくとも1単位の買い注文が配分される可能性は高くなり、2順目以降の配分にも期待できる。しかし、売り注文と買い注文の差が大きい場合、すべての売り注文に買い注文を1単位配分できないことも多い。例えば、東京電力を2000株、6時30分までに成行売り注文を出して、優先的に買い注文が配分されたとしても、100株しか取引成立しないということである。

 ただ、SBI証券の場合はここでさらに売りやすくするテクニックがある。東京電力株を2000株売りたいという場合には、2000株の成行注文を出すのではなく、100株の成行注文を20個出せばいいのである。こうすれば全株売れる可能性もあるのだ。「持ち株がストップ安の水準よりさらに値下がりすることが想定される」という状況は滅多にないが、万が一そういうことに巻きこまれた時のためにも覚えておいていただければと思う。

 ちなみに、証券会社によってルールは異なっていて、同じネット証券でも松井証券では、成行注文で発注時間が早い売り注文ほど優先されるのはSBI証券と同じなのだが、コールセンターによるとSBI証券のように早期の発注が一律6時30分として扱われることはないということである。そのため、注文は前日の17時から受け付けているので、できるだけ早く発注することが大切になる。

 また、松井証券は1人の投資家から複数の売り注文がある場合、優先順位が1番上の売り注文のみに買い注文を配分するため、SBI証券のように100株の成行注文を20個出すというテクニックは有効ではない。このあたりは、自分が利用している証券会社のコールセンターに事前に確認しておいていただければと思う。

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