リスク許容度が上昇し大幅高清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年06月29日 08時27分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>9648.98△70.67

<TOPIX>830.34△4.70

<NYダウ>12188.69△145.13

<NASDAQ>2729.31△41.03

<NY為替>81.12△0.24

ギリシャ問題の進展期待やQE2終了を織り込んでリスク許容度が上昇し大幅高

 ギリシャ問題が引き続き進展しそうだとの雰囲気になっていることや金融規制強化の影響も限定的ということに加え、QE2(量的緩和)終了も織り込んでリスク許容度が上昇、7月以降を睨んでリスクを積極的にとる動きとなり、ダウ平均、ナスダック指数も大幅高となりました。主要な経済指標の発表などを控えているのですが、月末のお化粧買い=持高調整の買戻しや買い直しに期待する向きもあって買い急ぐ場面もみられました。

 懸念材料が緩和されて好材料にも素直な反応となっていますが、QE2終了やギリシャ問題などからいったん信用収縮となったものが再度リスクを取れるということで、買い直す動きとなったものと思います。原油や金の先物が堅調となったこともリスク資産の増加を示しており、いったん危険回避的な流れとなったものがQE2が終了しても金融規制が取りざたされても潤沢な資金供給は続きそうだということで息を吹き返したということなのだと思います。

 個別にはクラウドコンピューティング対応の業務ソフトを発表したマイクロソフトが堅調、買い推奨が相次いだリンクトイン(SNS大手)は大幅高、「買い」の投資判断が示されたビザやマスターカードも堅調となりました。世界的な景気鈍化懸念も薄れたことから、キャタピラーが大幅高、GE(ゼネラル・エレクトリック)やアルコアも堅調と景気敏感株が高く、インテルやIBM、アップルなどハイテク銘柄も軒並み堅調となりました。原油価格や金価格が高いことから、エクソン・モービルなどの石油株やパブリック・ゴールドなどの金鉱株も高くなりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株高や前日の大幅下落の反動、為替の落ち着きなどを受けて買い先行となり、寄り付きの買いが一巡となった後上値の重い場面もありましたが、値がさ銘柄などを中心に堅調となって大幅高となる場面もありました。それでも外国人も株数では売り越し金額では買い越しとなっていたように方向感も見極め難く、積極的な買いは続かず、上げ幅縮小となりました。

 本日の日本市場は米国株高や為替が円安に振れたことから買い先行となりそうです。まだ、国内政局の混乱や原子力発電所を巡る問題など懸念材料もあるのですが、世界的な景気鈍化懸念やギリシャ問題などの金融不安、米QE2(量的緩和)終了の影響など、徐々に織り込みつつ、足元の業績回復を見直す動きもあり、堅調な展開となりそうです。ハイテク銘柄や機械株など世界的な景気鈍化懸念や円高懸念、そして大震災の影響からの業績悪化懸念で売られていたような銘柄の買い直しなどもあるのではないかと思います。また、電力不足関連での蓄電池や代替エネルギー関連銘柄なども物色されるのではないかと思います。

 日経平均は本日も堅調となってくれば、一目均衡表の雲を抜けて底入れ感が強まり、大震災前の水準を目指すような期待も高まってくることになりそうです。ただ、TOPIXは出遅れ感があり、まだ雲に上値を押さえられるような状況で、相場全体に底入れ感が出てくるにはもう一段の上昇が必要かもしれません。まだまだエネルギー不足の感は否めず、一気に日経平均の次の節目である9800円〜900円水準を目指すというよりは9500円〜600円水準を固めるということであり、本日の相場も大幅高は期待されるものの、上値はある程度限定的となりそうです。

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