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» 2011年06月27日 08時00分 UPDATE

藤田正美の時事日想:なぜ菅さんが首相ではいけないのか? (1/2)

菅首相の進退について日々憶測が飛び交っている。筆者は、目の前のことをあれこれと「食い散らかす」菅首相の姿勢に疑問符を付け、復興を軌道に乗せることが第一とした超党派の協力体制を構築することが大事だと主張する。

[藤田正美,Business Media 誠]

著者プロフィール:藤田正美

「ニューズウィーク日本版」元編集長。東京大学経済学部卒業後、「週刊東洋経済」の記者・編集者として14年間の経験を積む。1985年に「よりグローバルな視点」を求めて「ニューズウィーク日本版」創刊プロジェクトに参加。1994年〜2000年に同誌編集長、2001年〜2004年3月に同誌編集主幹を勤める。2004年4月からはフリーランスとして、インターネットを中心にコラムを執筆するほか、テレビにコメンテーターとして出演。ブログ「藤田正美の世の中まるごと“Observer”


 首相のいすに執着する菅直人氏。しかし彼を批判すると必ず「反論」が出る。その1つは、「菅さんをおろしたところで、いったい誰がうまくこの事態に対処できるというのか」というもっともなものだ。

 残念ながら、これに答えるのはなかなか難しい。すぐに思い当たる議員が民主党にはいない(もちろん自民党をはじめとする野党にもいない)。どんどん首相が代わるので、次のリーダーの「製造」が間に合わないような感じさえする(「粗製濫造」そのものと言ったらあまりにも失礼というものだろうか)。

 「この人ならという人材がないのならば、菅さんでもいいのではないか」という「消極的支持」の人が意外に多い感じがする。それでも、あえて言おう。自民党が言っていることに賛成するわけではないが、「菅さんを総理の座に座らせておくことは、日本にとってマイナスだ」と。

 あの3月11日から100日ほどが過ぎた東北に行って来た。南三陸町、気仙沼市、陸前高田市、大船渡市と駆け足で回った。確かに一面のがれきだったところも、道は確保されていた。流された橋も一部は自衛隊によって仮の橋がかけられていた。大きく迂回しなければならないところもあったとはいえ、自動車による輸送力はずいぶん回復したはずだ。

 しかし、がれきが片付いたわけではない。とりあえず置けるところに集めただけである。分別も始まっているようだが、それもごく一部のように見受けられた。普段ならゴミ処理といえば自治体の仕事なのだが、行政主体そのものが被災しているところも少なくない。これではがれき処理もなかなか進まない。大船渡駅前の繁華街などは、道は何とか確保されていても、がれきはまだ大半がそのままだった。

 がれきの処理ができなければ、土地の測量だってできまい。土地の測量ができなければ、政府が土地を買い上げると言っても、簡単ではない。自動車の所有者が分からなければ、いかに壊れていても処分できないのと同じことである。だからこそ政府が先頭に立って、処理方針を示さなければならない。

 それなのに、政府はようやく復興基本法を成立させただけである。これによって復興庁の新設やら復興特区の制定、復興債の発行などが方向として示されたが、具体的にはこれからだし、新しい法律も必要になる。つまり、ようやく入り口に来ただけなのである。

 もちろん東日本大震災が未曾有の大災害であったことや、東京電力福島第一原発の事故が重なったことなどで、政府の対応が遅れたということもあろう。しかしいちばん大きな問題は、目の前のことをあれこれと「食い散らかす」菅首相の姿勢なのだと思う。

 思い出してほしい。2010年の参院選の時、菅首相はいきなり消費税増税を打ち出した。しかも「自民党案を参考にしながら」と責任を転嫁するような言い方をした。そして参院選で大敗北を喫すると、「強い経済、強い財政、強い社会保障」として、税と社会保障の一体改革を唱えた。さらに鋤メ浜で開かれたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)ではこれまた唐突にTPP(環太平洋パートナーシップ協定)参加検討を打ち出した。そしてまた、この2011年度予算では過去最悪の国債発行をすることにした。

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