日本に起業家が少ない理由ちきりんの“社会派”で行こう!(2/3 ページ)

» 2011年06月27日 08時00分 公開
[ちきりん,Chikirinの日記]

起業家は日本の大組織では耐えられない人がなるもの?

 ところが、「日本はこの水色の領域に入っている人口(比率)がそもそも少ないのではないか?」というのが、今回思いついたことです。

 なぜでしょう?

 それは、日本ではこの横軸と縦軸に“だぶり”があるからではないでしょうか。今の日本では“求められてる社会適応スキル”の1つに、“くだらないことでも長期間じっと我慢できるスキル”というものが含まれているように思えるのです。

 もしそうだとすると、「社会適応スキルの高い人は必ず自己抑制キャパも大きい」という関係になり、左下の水色領域に入る人がほとんどいなくなるのです。

 そして、日本でフリーで働くプロフェッショナルや起業家らは、その多くが右下の黄緑の領域でフリーターやニートと混在しています。日本では起業家もニートも「いわゆる日本的大組織ではやっていけない人」であり、両者とも「社会適応性を欠いている人」として扱われるのです。

 それはポジティブに言えば、「日本の大組織では収まりきれない器の人」が起業家になる、となります。堀江貴文氏も柳井正氏も孫正義氏も、普通の大企業の勤め人なんてできなさそうですよね。そんな生活にはきっと耐えられないでしょう。

 この、「起業家は日本の大組織では耐えられない人がなるもの」というコンセプトのために、日本では大企業の社員や公務員が起業家をうらやむことがありません。人はわざわざ「社会不適応な人」に憧れたりしないのです。ピンク領域にいる人たちは「自分のいる場所が一番いい場所だ」と確信しているわけですから、一生そこから動かないのは合理的な判断なのです。

 でも、もしこの2軸が独立していて水色の領域にもっと多くの人がいれば、ピンク領域の人から見て彼らは、「能力は自分たちと変わらないけれど、自分のやりたいことを我慢せず、自由に生きている人たち」に見えます。そうすると憧憬の対象や目標になりえ、ピンク領域から水色領域へ「人の移動」が起こるでしょう。優秀な人たちがどんどん起業家を目指し始めるのです。

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