冠水、悪臭、ハエ――震災から3カ月、被害が拡大している現実東日本大震災ルポ・被災地を歩く(5/5 ページ)

» 2011年06月25日 10時00分 公開
[渋井哲也,Business Media 誠]
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震災から3カ月。6月に避難勧告が出た地域も

 震災から3カ月が経った石巻市。家が残り、瓦礫もないために、表面的には落ち着いて来たように見える地域もある。しかし、地盤沈下による冠水という震災の影響は、3月11日以降も続き、住民を悩ませている。

 3月11日以降、被害が拡大している地域は、こうした沿岸部だけではない。仙台市青葉区折立もそうだ。道路は陥没し、さらに地割れや地滑りなどのため、3月14日に警戒区域となった。梅雨入りを迎えて6月5日には避難勧告を出す方針を決めたという。折立小学校はすでに入構禁止となり、折立中学校に間借りしている。

 周囲では家が傾き、道路にはひびが入って、波打っている。中には地滑りによって、家が道路に張り出してきているところもあり、とても危険な状況だ。避難している人もいる。近くに住む女性は、置き去りにされたペットの餌をあげていた。

仙台市青葉区折立。道路にはひびが入り、地滑りで家が道路に張り出している

 東日本大震災は津波被害があったことで沿岸部に注目が集まった。確かに、人命や財産への損失は沿岸部が大きいことは間違いない。しかし、被害は津波だけではない。今後は地震被害があった地域の対策にも、目を向ける必要があるだろう。

渋井哲也(しぶい・てつや)氏のプロフィール

 1969年、栃木県生まれ。フリーライター、ノンフィクション作家。主な取材領域は、生きづらさ、自傷、自殺、援助交際、家出、インターネット・コミュニケーション、少年事件、ネット犯罪など。メール( hampen1017@gmail.com )を通じての相談も受け付けている。

 著書に『自殺を防ぐためのいくつかの手がかり』(河出書房新社)、『実録・闇サイト事件簿』(幻冬舎)、『解決!学校クレーム』(河出書房新社)、『学校裏サイト 進化するネットいじめ』(晋遊舎)、『明日、自殺しませんか?』(幻冬舎)、『若者たちはなぜ自殺するのか?』(長崎出版)など。メールマガジン 「悩み、もがき。それでも...」を刊行中。


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