なぜ会社員は“クビ宣告”を跳ね返せないのか吉田典史の時事日想(1/5 ページ)

» 2011年06月24日 08時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]

著者プロフィール:吉田典史(よしだ・のりふみ)

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2005年よりフリー。主に、経営、経済分野で取材・執筆・編集を続ける。雑誌では『人事マネジメント』(ビジネスパブリッシング社)や『週刊ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)、インターネットではNBオンライン(日経BP社)やダイヤモンドオンライン(ダイヤモンド社)で執筆中。このほか日本マンパワーや専門学校で文章指導の講師を務める。

著書に『非正社員から正社員になる!』(光文社)、『年収1000万円!稼ぐ「ライター」の仕事術』(同文舘出版)、『あの日、「負け組社員」になった…他人事ではない“会社の落とし穴”の避け方・埋め方・逃れ方』(ダイヤモンド社)、『いますぐ「さすが」と言いなさい!』(ビジネス社)など。ブログ「吉田典史の編集部」、Twitterアカウント:@katigumi


 菅首相の退陣がいつになるのか、注目を浴びている。最近は、仙石官房副長官ら執行部が退陣への道筋をつけていると新聞などは報じる。多くの会社員はこの様子を冷めた思いで見ているのだろうが、実はこの「辞める、辞めない」論争は、会社員をしていくうえでよく心得ておくべきことなのだ。

 会社員を続けていると「辞める、辞めない」というトラブルに巻き込まれることがある。上司や人事部、役員らから「辞めるように」と言われることが多い。

 時折「優秀な成績を残していれば、クビにはされない」と言う会社員がいる。特に20〜30代に目立つ。私はこのとらえ方は、事実関係として誤りだと思う。会社の上層部が辞めさせる社員を選ぶ基準は、決して成績だけではない。

 むしろ、直属上司からの報告、過去の勤務態度、賞罰、実績、部署の異動歴、年齢、入社年次、今後の潜在的な可能性、同期生をはじめ同世代との将来性の比較などを観察し、相対的に決めている。単純に実績だけで決めることはまずない、と言っていい。リストラに限らないが、人事は採用にしろ配置転換にしろ、相対的に決まる。

「辞めるように」と言う、3つの理由

 上司や人事部、役員らが社員に「辞めるように」と言う場合は、主に以下のようなときである。(1)〜(3)までは意味が重なっている部分があることは、あらかじめ述べておきたい。

  • (1)リストラの対象になったとき
  • (2)上司と激しくぶつかったとき
  • (3)不祥事を起こしたり、著しく能力が低いとき
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