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» 2011年06月23日 08時00分 UPDATE

郷好文の“うふふ”マーケティング:“私のリクエスト”で稼ぐ、新たなラジオビジネス (1/3)

米国人口の3割のユーザーを抱えるネットラジオのパンドラ。先日の上場で時価総額26億ドルの企業となったが、その人気の秘密は“リクエストビジネス”にあるようだ。

[郷好文,Business Media 誠]

著者プロフィール:郷 好文

マーケティング・リサーチ、新規事業の開発、海外駐在を経て、1999年〜2008年までコンサルティングファームにてマネジメント・コンサルタントとして、事業戦略・マーケティング戦略など多数のプロジェクトに参画。2009年9月、株式会社ことばを設立。12月、異能のコンサルティング集団アンサー・コンサルティングLLPの設立とともに参画。コンサルタント・エッセイストの仕事に加えて、クリエイター支援・創作品販売の「utte(うって)」事業、ギャラリー&スペース「アートマルシェ神田」の運営に携わる。著書に『顧客視点の成長シナリオ』(ファーストプレス)など、印刷業界誌『プリバリ[印]』で「マーケティング価値校」を連載中。中小企業診断士。ブログ「cotoba


 「私のお願いを聞いて!」というビジネスモデルは強い。

 2011年6月14日、ニューヨーク証券取引所に公募価格16ドルで上場したパンドラは、時価総額26億ドル(約2000億円)の企業になった。久々のインターネット企業の大型上場と言われるパンドラ(Pandora Media, Inc.)はどんな会社なのか? ひと言で言えば音楽ストリーミング、インターネット上で音楽を無料で流すネットラジオである(有料会員制もある)。

ah_pandoratop.jpg パンドラWebサイト

 ただし、普通のラジオ局のようにパーソナリティが選曲するのとは違う。リスナーが電話やネットから、特定の番組にリクエストするのとも違う。

 パンドラでは、リスナーは好きなアーティストや曲をネット上からリクエストする。それを元にパンドラが、リスナーの好きなジャンルの曲を分析・選曲し、自動でかけてくれるステーションを作ってくれる。いわゆるレコメンデーションのような、リスナーの“音楽遺伝子”をたどるような選曲がなされる(特定曲を配信することはライセンス上の制約でできない)。

 例えば、目が覚めるハードなロックンロール・ステーション、故郷への想いに浸るカントリーステーション、雨の日にまったりのジャズステーションなど、気分やTPOに応じた音楽ラジオステーションが100局まで作ることができる。無料ユーザーは1カ月40時間の利用制限がかかり、サイトでも広告付きなど制約がある。有料ユーザーは利用時間無制限、高品質な音質、広告無しのサービスが得られる(年間36ドル)。

 2005年開始のこのサービスにハマって、CDを買わなくなったというリスナーも多く、毎秒1人のペースで新規ユーザーを獲得中。現在9400万人のユーザー数は、米国人口のおよそ3割にのぼる(ライセンスの関係から米国内だけのサービス提供)。

 なぜここまで支持されるのか?

 その秘密は「リクエスト」にある。パンドラのリクエストは「この曲をかけて!」という単純なお願いではない。「この曲が好き!」という“自己表現”でもあり、「このグループが好き!」の“仲間作り”の要素もある。リクエストを元にMyラジオステーションを創る“特別注文”でもある。

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