苦しい営業から逃れるために、すべきこと売り込まず、お客をファンにする方法(2/3 ページ)

» 2011年06月22日 08時00分 公開
[安東邦彦,Business Media 誠]

ブランドとは支持される存在

 しかしあなたは「営業マンがブランドをもつことなど本当にできるのか」と思われているかもしれません。大企業が行っているようなブランド戦略を真似しようとすれば、お金も時間もかかります。しかし、消費者すべてにあなたの名前やあなたの商品が知れ渡る必要はないはずです。あなたの周りの支持されたい人に支持される存在なることを考えれば、やるべきことは限られています。

 それは、あなたが何を大切にしているのか、何を実現するために頑張るのか、顧客にどのような支援ができるのか、をはっきりさせること。そして、その理念やミッションを中心として、顧客に対して継続的に情報提供を行うことです。

「○○ならあなた」になるために

顧客のために情報提供を(写真と本文は関係ありません)

 ここで、ある自動車の板金塗装修理工場の営業マンの事例をご紹介します。自動車の板金塗装修理は、サービスの差別化がしにくいため、価格競争が激しくなるばかりの業界です。その業界の中で、価格競争とは一線を画して、成果をあげている会社があります。

 この会社の営業マンは、お客さんに会うと「お客さんの立場に立った修理」「職人ではなく、サービス業としての取り組み」「大切な自動車を取り扱ための技術力の向上」を常に目指していることを伝えています。

 多くの営業マンが、商品を売るための説明に終始してしまっている時代に、顧客の目線で、会社としての思い、存在価値、技術力を伝えているのです。このことは、パンフレットでもWebサイトでも同じです。会社として、営業マンとしての思いや姿勢に共感していただく顧客をゆっくりと増やしていくことに力を注いでいます。

 そして、一度注文をいただいた後も、取引関係を終わらすのではなく、顧客のための情報提供を続け、「自動車のことなら○○板金」と思っていただく努力をしています。その結果、リピーターの利用や紹介が後を絶ちません。なぜなら、取り組みや姿勢に共感した顧客は応援してくれるようになるからです。

 このような小さな積み重ねこそが、営業マンのブランドを形成していくのではないでしょうか。そして、この事例からも分かるように、ブランドをもつための取り組みは「特別なことではない」ということです。

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