コラム
» 2011年06月21日 07時58分 UPDATE

松田雅央の時事日想:欧州を震撼させている、O104の猛威 (1/3)

北ドイツを中心に新型の病原性大腸菌O104が猛威を振るっている。感染者は3500人、死者は39人。感染源も北ドイツで生産されたモヤシと特定されたが、事態が収束するのはまだまだ先のようだ。

[松田雅央,Business Media 誠]

著者プロフィール:松田雅央(まつだまさひろ)

ドイツ・カールスルーエ市在住ジャーナリスト。東京都立大学工学研究科大学院修了後、1995年渡独。ドイツ及び欧州の環境活動やまちづくりをテーマに、執筆、講演、研究調査、視察コーディネートを行う。記事連載「EUレポート(日本経済研究所/月報)」、「環境・エネルギー先端レポート(ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社/月次ニュースレター)」、著書に「環境先進国ドイツの今」、「ドイツ・人が主役のまちづくり」など。ドイツ・ジャーナリスト協会(DJV)会員。公式サイト:「ドイツ環境情報のページ


 この1カ月、北ドイツを中心に新型の病原性大腸菌O104が猛威を振るっている。感染者3500人、死者は39人に上るなど、世界的にも近年まれにみる大規模感染に発展した。

 6月に入り、新規患者数は顕著に減少し感染源も北ドイツで生産されたモヤシと特定されたが、収束と言うにはまだ早い。当初、感染源としてスペイン産キュウリが疑われるなど欧州全土を巻き込んだ風評被害も深刻だ。

EHECとHUS

 今回の「O(オー)104」は感染性や毒性が非常に強い腸管出血性大腸菌(EHEC)で、抗生物質が効きにくく重症化しやすいという特徴を示している。1996年に日本で爆発的に拡大した大腸菌O157も腸管出血性大腸菌の1つだ。

 O104は主に食べ物を介して人から人へ広がり、下痢、腹痛、血便などの症状を引き起こし重篤な場合は死に至る。腸管出血性大腸菌に感染すると、急性腎不全などにつながる溶血性尿毒症症候群(HUS)に進行する危険もある。日本ではEHECとHUSを区別しない、あるいは混同した報道が目立つが、ドイツでは症状と治療法の違いから統計上区別して扱うため、ここではそれにならうものとする。

現状

 EHEC/HUS対策について中心的役割を果たす、ドイツ健康省の医学研究機関ロバート・コッホ研究所(RKI)の最新発表要約(6月20日)は以下の通り。

  • ここ数日、報告されるEHEC/HUSの新規患者数は顕著な減少傾向にある。
  • 5月中旬以降、報告を受けたEHEC患者は2684人。59%が女性、87%が20歳以上の成人。12人死亡
  • HUSを併発した患者は、5月中旬以降810人。69%が女性、88%が20歳以上の成人。27人死亡
  • 合計3494人がEHECに感染またはHUSを発症し計39人が死亡
  • 成人、特に女性の患者が多いことが、過去になかった特徴。2010年の1年間に報告を受けたHUS患者65人のうち18歳以上は6人のみだった。

対応の手引き

  • 手をよく洗浄し、特に小児、免疫力の落ちている人は気をつける。また調理時の衛生管理に注意。
  • 血便があればすぐ医師の診察を受ける。
  • EHECの感染から下痢の症状が現れるまで平均3〜4日を要する。EHECを原因とするHUSは下痢の症状から1週間ほどで発症する。

 新規患者数は5月23日の約200人/日をピークに下がり続けている。14日には初めて子供の死亡が報告された。またわずかな数ではあるが、ドイツ南部バイエルン州のレタスからもO104が検出された。

yd_matuda1.jpg トマトのハウス栽培
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