「窓の内側」という展示室に入ると、まずフィリップ・ラメットの「ゆがんだ鏡」の洗礼を受ける。
心理学用語で有名なのものに「ジョハリの窓」というのがある。自己には4つの窓がある。「解放の窓(自分も他人も知ってる自分)」「秘密の窓(自分しか知らない自分)」「盲点の窓(他人は分かっているけど自分が知らない自分)」「未知の窓(自分も他人も知らない自分」という。どこが大きいとよいという話ではないが、コミュニケーションの場でよく使われるものだ。
「ゆがんだ鏡」では、どこの地点に立っても自分の顔はうまく映らない。場所によってはびろーんと顔が広がって面白い表情にもなり得る。歪曲した鏡に映るものは何なのか、いつも鏡に映る自分とは違う姿をどう受け止めるのか。ジョハリの窓が歪んでいたら、そこに見えるものは何なのか。自分の内面と向き合うのにふさわしい作品だ。
このほか、マチュー・メルシエやディディエ・マルセルのウィットに富んだ彫刻や、タチアナ・トゥルヴェのペインティング、グザヴィエ・ヴェイヤンのクールな彫刻など、点数も盛りだくさんだ。最後にコレクターの部屋が再現されているのも面白い試みである。美術品とともにある生活はどのようなものなのか覗いてみたい。
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