なぜ被災者を受け入れたのか? 新潟県三条市の市長に聞く相場英雄の時事日想(2/4 ページ)

» 2011年06月16日 08時00分 公開
[相場英雄,Business Media 誠]

三条市民の反応

――三条市民の反応は?

三条市の國定勇人市長

 ひと言で言えば、すさまじかった。市として迎え入れに躊躇しなかった要因の1つに、7・13を経験した三条市民の存在がある。市民は、自分のことのように南相馬の皆さんのことを気遣ってくれると確信していた。

 例えばボランティアを募集すると、1日で700人集まったこともある。信じられないことが起きた。相場さんが三条出身であれば理解してもらえると思うが、三条気質としては、自分の利益を追求し、社会全体の調和に対してはナナメ横からの目線が多い。元来そういった市民性が根強いにも関わらず、今回は市民が素早い反応をみせてくれた。

 水害からの6年半、市民も全国の皆さんから支えられて今の状況にようやくたどり着けたという気持ちが強い。被災経験を持つ市民だからこそ、真っ先に手伝いにかけつけてくれたのだと思う。

 言葉は悪いが、頭で考えるよりも先に、体が動いたというのが正直な感想だ。そういう市民の気持ちが、浜通りの皆さんに敏感に伝わったと思う。

 避難された皆さんの心理的な状況は、他の市町村に避難された方々よりも落ち着いていたのではと思っている。行政が一生懸命やったわけではなく、三条市民が避難された方々と同じ目線で接することができる、痛みを本当の意味で分かち合っているという証左ではないだろうか。

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