中国景気の拡大や日本の景気判断の上方修正を受けて大幅高清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年06月14日 16時59分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 米国株が冴えない展開となったことや中国の景気動向など懸念材料も多く冴えない始まりとなりました。手掛かり材料に乏しい中で昨日の終値と同じような水準で始まり、底堅さは見られたものの戻りも鈍く、戻りの鈍さを嫌気する動きなどで冴えない展開となりました。ただ、昼ころに中国の経済指標が発表され、過度な景気鈍化や消費者物価指数の過熱がみられないことから買い戻しなども入り堅調となりました。日銀の金融政策決定会合の結果が発表されて、景気判断が上昇修正されたこともあって買い戻しを急ぐ動きから一時大幅高となりました。引き続き中国での利上げ懸念などもあり、最後まで買い切れませんでしたが、堅調となりました。

 中国でも景気鈍化が懸念されましたが、発表された経済指標は総じてみると「鈍化はしているのだけれど思ったほど鈍化していない」という感じです。日本でも日銀が景気判断を引き上げたことや新規貸付枠を設定したことで、信用収縮懸念が薄れ買い直しが入ったものと思います。ただ、決定的な買い材料ということでもなく、値ごろ感からの買いが入ったということなのだと思います。

 世界的に景気鈍化が懸念されていますが、米国にしても日本にしても大騒ぎするほど悪くはないという印象です。もちろん、日本では増税が行われればますます景気も悪くなるのでしょうし、節電ばかりでは消費も萎縮し、景気回復は期待できなくなってしまいますが、とりあえず、足元の景況感は大震災の影響から「普通」に戻ると言うことで回復傾向にあるということなのでしょう。

 中国でも景気拡大鈍化の傾向がみられるのはこれまで先駆して経済が拡大していた沿岸部や都市部であり、広大な中国全土を見れば、まだまだこれから生活水準も向上し、それに伴って経済も拡大していくものと思われます。また、中東・北アフリカの民主化の動きにみられるように、生活水準が向上する、経済の拡大している「新興国」にも広がりがみられ、大きな流に変化はないものと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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