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» 2011年06月14日 08時00分 UPDATE

上司の間違った命令には従うべきか? (1/2)

先日、東京電力本店からの命令に背いて海水注入を続けた福島原発の吉田昌郎所長の処分が話題となった。これほどの大事件でなくても、現場の判断を優先させべきか、上司の命令に従うべきかで迷ったことがあるビジネスパーソンは多いだろう。この問題はどのように考えればいいのだろうか。

[木田知廣,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:木田知廣(きだ・ともひろ)

シンメトリー・ジャパン代表。米国系人事コンサルティングファーム、ワトソンワイアットで、成果主義人事制度の導入に尽力。欧州留学を経て、社会人向けMBAスクールのグロービスの立ち上げをリード。2006年、経営学の分野で有効性が実証された教育手法を使い、「情報の非対称性」を解消することをミッションとしてシンメトリー・ジャパンを立ち上げる。


 突然ですが、問題です。持ち時間30秒で答えてください。

 「あなたの目の前で、お腹を押さえた子どもが苦しそうな表情をしています。そこへ、会社の社長から携帯に電話が入りました。『緊急事態だ、早く帰社してくれ』と。さあ、あなたは子どもを放っておいて帰社しますか? それとも社長の命令を無視しますか?」

 ……というジレンマに、もっと大きいスケールで直面したのが、福島原発の吉田昌郎所長です。目の前には冷却機能を失った原発、ところが東京電力本店からは「海水の注水を中断せよ」との命令。指示を出しているのはおそらくは事故対策の指揮を執っていた小森明生常務。命令を聞かなければ処分が待ってるのは間違いありません。

 いわば、「前門の虎、後門の狼」ならぬ「前門のメルトダウン、後門のサラリーマン人生」という感じでしょうか。

 実際のところは、吉田所長は本店の命令を無視して注水を続け、その結果処分が下されました。これをめぐっては「本社からの命令に従わないことへの処分は当然だ」という処分肯定派と、「正しい判断をした人の行為をとがめるのはおかしい」という処分否定派による賛否両論はいまだに渦巻いています。

 そして、この問題の難しさは、吉田所長1人のみならず、後に続く人の行動へ大きなインパクトを持つところにあります。

 組織の統制を優先させれば社員は萎縮して主体性に何かをやることはなくなって、いわゆる「指示待ち」化してしまいます。かといって勝手な行動を認めてしまうと、ずるずると規律が失われていって、組織としての効率性・安全性に大きな問題を抱えそうです。

 さすがにメルトダウンほどの大事件はないでしょうが、現場の判断を優先させるのか、それとも上司の命令に従うべきかで迷ったことがあるビジネスパーソンは多いでしょう。

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