個人生活も同じでしょう。30代前半なら、家庭があっても「本当に人生をともに歩みたい人」とやり直すのは可能です。最近は子どもがいてもそういう判断をする人も多いですよね。でも37歳を超えたら、そういう人と非公式な関係を持つのは可能でも、生活の枠組みを変えるのはとても大変になります。
これは「配偶者が年をとっているから捨てられない」という話ではありません。子どものこと、親の介護、住宅ローン、自分の健康問題、会社での立場など、個人の感情以外のさまざまな制約が絡まって、人生のかじを大きく切ることに必要なエネルギーが圧倒的に大きくなるからです。だから「今あるもの」を大事にすることが唯一の選択肢となったりします。
このあたりから、女性がヨン様や石川遼君、ハンカチ王子などにはまり始めるのも関係あるのではないでしょうか。32歳なら「娘の担任の先生」という実在の人に恋するのもアリでしょうが、37歳を超えてそんな身近な人に恋していたらヤバイです。人生を崩壊させる気がないとのめり込むことはできません。
でも、ヨン様なら何の遠慮もいりません。夫のお金で韓国までファンミーティングに出かけても人生は崩壊しません(いや、知りませんよ。自己責任です!)。現実が変えられなくなるからこそ、人畜無害の疑似恋愛対象が求められるわけです。
三浦展氏はこの本の中で、今30代前半の氷河期世代が“不幸なまま37歳になったころ”に、本当の絶望の時代が訪れますよ、と警告しており、これからの5〜6年がその時期にあたります。何だかちょっと怖いです。
そんじゃーね。
兵庫県出身。バブル最盛期に証券会社で働く。米国の大学院への留学を経て外資系企業に勤務。2010年秋に退職し“働かない人生”を謳歌中。崩壊前のソビエト連邦など、これまでに約50カ国を旅している。2005年春から“おちゃらけ社会派”と称してブログを開始。著書に『ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法』がある。Twitterアカウントは「@InsideCHIKIRIN」
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