景気回復鈍化懸念は根強く上値も限定的清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年06月10日 08時40分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>9467.15△17.69

<TOPIX>812.95▼1.50

<NYダウ>12124.36△75.42

<NASDAQ>2684.87△9.49

<NY為替>80.35△0.46

値ごろ感からの買いが入り堅調だが、景気回復鈍化懸念は根強く上値も限定的

 朝方発表された新規失業保険申請件数は予想を若干上回って増加、引き続き雇用に対する懸念も根強かったのですが、ダウ平均が6日続落、心理的な節目である12000ドルを意識したこともあって底堅い堅調な展開となりました。いったん底堅さが確認されると貿易赤字の縮小を好感する買や買戻しを急ぐ動きもあり、一時大幅高となりました。ただ、世界的な景気鈍化懸念や米国での雇用に対する懸念も根強く、最後は手仕舞い売りや戻り売りが嵩んで上げ幅縮小となりました。

 ようやく反発となりましたが、派手に上昇することもなくまだ値頃感からの買戻しという段階ではないかと思います。ここのところの下落は多分にセンチメントの問題であり、企業業績が大きく落ち込んでいるとか、景気指標がかなり悪化していると言うことでもなく、QE2(量的緩和)終了をにらんだ投機的資金の収縮の段階ではないかと思います。商品相場も含めて、ここからは実需的な買いも見られ、売られすぎの修正などが行われるのだと思います。

 個別にはタブレット端末を発売すると発表したHP(ヒューレット・パッカード)が堅調となりましたが、アップルは軟調、インテルも売られるなどハイテク銘柄は軟調なものが目立ちました。欧州での金融不安が薄れ、株価が上昇するなかで銀行株が買われ、JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカなど総じて堅調となりました。傘下の独オペルの売却を検討していると報じられたGM(ゼネラル・モーターズ)が堅調、とうもろこし先物が最高値を更新したことから農業関連銘柄が高く、モンサントやディア、CFインダストリーズなどが買われました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株安などから売り先行となりました。売り買いともに手掛かり材料に乏しく、個別に材料に反応するものもみられましたが、値動きのいい銘柄を物色するような格好で物色対象も搾りきれず、冴えない展開となりました。先物・オプションのSQ(特別生産指数)算出に絡む売り買いで最後は指数は堅調となりましたが、冴えない動きには違いなく、小幅の値上がりに止まりました。

 本日の日本市場は米国株高や為替の落ち着きから堅調な展開が期待されます。先物・オプションSQ(特別清算指数)の算出は特に波乱はなさそうで、買いが優勢になりそうで、日経平均のSQ決定後にそのSQ値を気にする向きも多く、抜けてくるようであれば週末の手仕舞い売りやヘッジ売りをこなして堅調となりそうです。ただ、昨日の相場でも主力銘柄に底堅い堅調なものも多かったので、米国株高を織り込んでいるかのように上値の重い展開が続くと思われます。主力銘柄が買戻しも含めて堅調となる場面で、幕間つなぎ的に買われていた銘柄などがしっかりと値を保っていれば、相場の雰囲気もよくなるのでしょう。

 日経平均は今度は9500円〜600円水準を抜けてくるのかどうかが試されることになりそうです。一気にこの節目を抜けてくると言うよりは、その節目での上値の重さを確認するような展開となってきそうです。SQ値も9500円を意識した数字となりそうで、SQ値が9500円を抜けて達成感が出てしまうとその後は上値が重くなるのでしょう。

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