部長と課長の確執――部下が取るべき手段は?吉田典史の時事日想(1/3 ページ)

» 2011年06月10日 08時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]

著者プロフィール:吉田典史(よしだ・のりふみ)

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2005年よりフリー。主に、経営、経済分野で取材・執筆・編集を続ける。雑誌では『人事マネジメント』(ビジネスパブリッシング社)や『週刊ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)、インターネットではNBオンライン(日経BP社)やダイヤモンドオンライン(ダイヤモンド社)で執筆中。このほか日本マンパワーや専門学校で文章指導の講師を務める。

著書に『非正社員から正社員になる!』(光文社)、『年収1000万円!稼ぐ「ライター」の仕事術』(同文舘出版)、『あの日、「負け組社員」になった…他人事ではない“会社の落とし穴”の避け方・埋め方・逃れ方』(ダイヤモンド社)、『いますぐ「さすが」と言いなさい!』(ビジネス社)など。ブログ「吉田典史の編集部」、Twitterアカウント:@katigumi


 部長と課長は、どちらがエライのか――。

 迷うまでもなく、部長のほうが実績もあり、発言力は強く、存在感もあるはずだろう。しかし、私は会社員のころ、どちらがエライのか分からない職場に勤務し、苦しんだ。このときに味わったバカバカしさが、38歳で会社を辞めた一因であった。

 前回の記事では、社長と会長の間では権限と責任があいまいであり、そのことが無責任な体制を作っていることを指摘した。この責任の所在がはっきりしない空間が日本企業にはたくさんある。そこでは立場の弱い人が汚れ役をさせられたりして苦しんでいる。今回は、その無責任な職場を身近なレベルで考えたい。

部長と課長の確執

 まず、私が33〜38歳のころに働いていた職場を紹介したい。

  • 部署の名称:編集部(2つの課に分かれ、それぞれ5人ずつ)
  • 部員:2つの課を合わせて計10人(正社員9人:非正社員1人)
  • 体制:部長(40代後半・男性)の下に2人の課長。1人は50代前半の女性、もう1人は40代後半の男性。

 私は、50代前半の女性が課長を務める部署にいた。部員の年齢や性別などの内訳は、以下のとおり。いずれも非管理職。

(1)30代半ば(私)、(2)30代後半・女性、(3)30代前半・女性、(4)20代後半・女性

 問題は、課長とその上司である部長の不仲にある。課長の女性は雑誌や書籍の編集の仕事に30年以上にわたり携わってきた。だから、仕事を処理していくスピードは早く、部下への指示も今にして思うと的確なものが多かったように思う。だが、組織を束ねていく力は弱い。短気な面があり、部下が何か意見を言うとそれをさえぎり、封じ込めることがよくあった。

 その上にいる部長は、40代後半の男性。「お金持ちの息子」として評判だった。有名私立大学の付属中学校からエスカレートで大学まで上がり、親の縁故で入社。のんびりした性格で、部下を責めることはしない。その意味で、安心できる上司ではあった。ただし、自分の出世のことばかりを考えていて、私は少々滅入ることがあった。同世代の管理職によると、20代のころから上司にアピールすることが達者で、30代半ばで管理職になったという。

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