仕事の最大の報酬は「次の仕事機会」(3/3 ページ)

» 2011年06月08日 08時00分 公開
[村山昇,Business Media 誠]
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年収額を追うと「悪い回路」に入る

 「年収アップの転職を実現する!」―――人材紹介会社の広告コピーには、こうした文字がよく目に付きます。給料がなかなか上がっていかない時代にあって、確かに年収アップは魅惑的です。

 ですが、現職を「給料が安いからダメだ」とか、「年収を上げるためにここいらで転職でも」とか、そういった金銭的な単一尺度で、長く付き合う仕事と会社を評価するのは賢明ではありません。

 もし、あなたが金銭報酬的なもののみにほだされて、ある職を選び、その職を実際行ってみた結果、面白みもなく、自分は何の能力向上もせず、ましてや次の挑戦機会も与えなかったとしたら、それは「悪い仕事」です。「悪い仕事」は労役であり、それこそ、その我慢料として、報酬はせめていい金額をもらわねばやってられない、という「悪い回路」に陥ります。

 私たちは、金銭的報酬以外に吟味すべきことがたくさんあります。そして優先順位を付けねばなりません。第一に考えるべきは、何といっても「仕事そのもの」です。そして、その周辺にはどんな「機会」があるかです。特に20代、30代前半は能力や人脈を蓄積することが決定的に重要になる時期です。より多くの「良い仕事機会」(=チャレンジングなプロジェクト)に加わっていくことが、確実なキャリアの発展回路を作り出します。

 もちろん、不当に安い給料で我慢することはありません。労働者の権利として正当な報酬は手にすべきです(従業員の経済的幸福を考えない会社、私欲に走る経営者は、早晩消えていきますが)。

 真に満足でき、自分を開いてくれる職業人生のために、「まず年収額ありき」のキャリアではなく、「良い仕事機会」に恵まれるキャリアを意識してください。良い仕事機会には、良い人たちも集まってきます。そして価値ある仲間と、価値ある仕事をさせてもらい、さまざまに成長していく。そして気づいたら納得のいく年収が得られていた―――それで十分ではありませんか。(村山昇)

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