仕事の最大の報酬は「次の仕事機会」(2/3 ページ)

» 2011年06月08日 08時00分 公開
[村山昇,Business Media 誠]
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目に見えない報酬

 さて、以上の報酬は、自分の外側にあって目に見えやすいものです。しかし、報酬には目に見えにくい、自分の内面に蓄積されるものもあります。

5.能力習得・成長感・自信

 仕事は「学習の場」でもあります。1つの仕事を達成するには、実に多くのことを学ばなくてはなりませんが、達成の後には能力を体得した自分ができあがります。また、良い仕事をして自分を振り返ると「ああ、大人になったな」とか「一皮むけたな」といった精神的成長を感じることができます。

 その仕事が困難であればあるほど、充実感や自信も大きくなります。こうした気持ちに値段がつけられるわけではありませんが、大変貴重なものです。会社とは、給料をもらいながらこうした能力と成長を身に付けられるわけですから、実にありがたい場所なのかもしれません。

6.安心感・深い休息・希望・思い出

 人はこの世で何もしていないと不安になる。人は、社会と何らかの形でつながり、帰属し、貢献をしたいと願うものです。米国の心理学者エイブラハム・マズローが「社会的欲求」という言葉で表現した通りです。仕事をする―――たとえそれがよい成果をもたらしても、もたらさなくても、人は、仕事をすること自体で安心感を得ることができます。

 また、良い仕事をした後の休息は心地よいものです。そして、良い仕事は未来には希望を与え、過去には思い出を残してくれます。

7.機会

 さて、仕事の報酬として6つを挙げましたが、忘れてはならない報酬がもう1つあります。――それは「次の仕事の機会」です。

 次の仕事の機会という報酬は、上の2〜6番めの報酬(つまり金銭を除く報酬)が組み合わさって生まれ出てくるものです。

 機会は非常に大事です。なぜなら、次の仕事を得れば、またそこからさまざまな報酬が得られるからです。そうしてまた、次の機会が得られる……。つまり、機会という報酬は、未来の自分を作ってくれる拡大再生産回路の“元手”あるいは“種”になるものです。「良い仕事」は、次の「良い仕事」を生み出す仕組みを本質的に内在しています。

 報酬としてのお金は生活維持のためには大事です。しかし、金のみあっても能力や成長、人脈を“買う”ことはできませんし、ましてや次の良い仕事機会を買うこともできません。そうした意味で、金は1回きりのものです。

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