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» 2011年06月07日 08時00分 UPDATE

コンビニ、ヒット商品の理由:目指すは豆乳の“牛乳化”――紀文食品『調製豆乳』 (1/2)

コンビニや量販店で、静かな定番商品となっている紀文食品の『調製豆乳』。どのように商品開発が進められ、どのようなマーケティングが行われているのだろうか。

[笠井清志,Business Media 誠]

「コンビニ、ヒット商品の理由」とは?:

限られた売り場を最大限に活用して、面積当たりの売り上げを高めているコンビニ。約100種類の新商品が毎週発売されているが、売れない商品は発売から2週間ほどで撤去されてしまう。厳しい審判をくぐり抜け、コンビニでヒットしているのはどんな商品なのか。一般には「おいしい商品」「お得な商品」「テレビCMが放映されている商品」が売れると思われがちだが、実は重要なのは「店頭展開」。このコラムでは、コンビニのヒット商品を展開方法の観点から分析していく。


 華やかなパッケージの商品が並ぶ、コンビニの飲料コーナー。その片隅に地味なパッケージでひっそりとたたずんでいるのが紀文食品の『調製豆乳』である。同社では1977年からさまざまな豆乳商品を販売しており、その定番となっているのが『調製豆乳』だ。

ah_kasai1.jpg 『調製豆乳』(出典:紀文食品)

豆腐の代わりに豆乳を

 紀文食品ではもともと、「国民にたんぱく質を提供する」というコンセプトで、おでん種の開発を行っていた。しかし、おでんは冬場には売れるのだが、どうしても夏場には売り上げが落ちる傾向にあった。

 そこで同社が目を付けたのが「豆腐」である。だが、中小企業分野調整法の壁が同社に立ちはだかった。中小企業固有の分野に大企業が進出する場合、中小企業側が大企業進出の撤退や縮小の要望を提出できるという法律なのだが、これにより紀文食品では豆腐が作れなくなったのだ。その時、発想を変え、豆腐製造の前段階にあたる豆乳を提供しようと考えたのが商品開発のきっかけである。

 商品開発を進める上で、常に意識していたのは牛乳。牛乳のように飲みやすい口当たりを目指していたのだが、豆乳だとどうしてもにおいが残ってしまい、さらりとした飲み口にならなかった。そこで、においをなくすことにこだわった改良を重ね、今では他社商品よりにおい成分が少なくなったという。

豆乳ブームを追い風に

 流通に目を向けると、同社の豆乳商品はスーパーなど量販店を中心に広がっていった。1983年には第1次豆乳ブームが起こり、量販店では出せば売れるという状態となった。この量販店での実績を説明することで、コンビニへの展開も進めていったのである。

 とはいえ簡単には開拓できなかったようで、まず最大手のセブン-イレブンが導入したのだが、その際にはパッケージに「セブン-イレブン」のロゴを入れて販売しなくてはならなかった。だが、そうした努力が実って、ほかのコンビニでも導入が進んでいくこととなる。

 プロモーションにあたっては、コンビニではメーカーサイドから発信するのは困難。そのため、基本的には量販店の店頭で、コーヒーメーカーとタイアップして、豆乳とコーヒーと砂糖を混ぜた「ソイラテ」の試飲を行っている。

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