菅首相、お辞めなさい藤田正美の時事日想(2/3 ページ)

» 2011年06月06日 08時00分 公開
[藤田正美,Business Media 誠]

被災者を「人質」に

 そもそも自民党や公明党が不信任案を提出したことに「大義」があったのかどうかはともかく、政府にスピード感がないことはハッキリしている。その責任の多くは首相にある。とにかく自分が承知していなければ気が済まない。気に済まない説明をする官僚に対し、怒鳴り上げる。後先のことを考えずに決断するなど、菅首相に対する評価は下がるばかりだ(昔、菅さんが閉じられた諫早水門を視察に行き、そこの管理者に「水門を開けろ」と言っていたことを思い出す。現場で判断できるはずもないことに、国会議員の権力をかさにきて「命令」する様は気持ちのよいものではなかった)。

 2011年の初め、「熟議の国会」と言ったのを忘れたわけでもあるまい。しかし震災を受けて超党派の仕組みをつくる努力をする(いきなり自民党の谷垣総裁に電話したのは、努力ではなくむしろ「ぶち壊し」である)こともなく、「一丸となって」などと掛け声ばかり。要するに被災者を「人質」にして、「歴史の評価に耐えられるのか」などと野党を恫喝しつつ、自らの延命を図る姿は、指導者としては恥ずかしい。そう思っている民主党議員も少なくあるまい。

 浜岡原発の停止にしても、それ自体の判断は悪くはないと思うが、他の原発の運転再開がより難しくなることは容易に想像できただろう。1000万戸の屋根に太陽光発電パネルを載せるというのは簡単だが、そのために必要な補助金の額は頭に入っていたのだろうか。それに太陽光発電を十分に使える態勢は整っているのかも明らかではない。さらに発送電分離も検討すると言ったが(私もそのほうがいいと思うが)、そのハードルは原発を収束させるぐらい難しいことだという認識があるのだろうか。

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