細菌や寄生虫などによる食中毒の問題は、人類の歴史と同じくらい古いと言っても過言ではないが、決定打になるような防止法はないのだろうか。
「実は、決定打になる可能性を秘めた方法が1つ存在するんです。それは『電子線滅菌』です。欧米では広く行われている方法で、例えばイチゴやレタスなど生食用の食材や各種スパイス類の滅菌・殺虫に普通に用いられています。アジアでも韓国などでは、20種類以上の食材で電子線照射が行なわれています。しかし、日本ではジャガイモの発芽防止用の照射しか認められていません。
この技術を生肉の滅菌に適用できるようになれば、生肉を安全に食べられるようになるのですが、電子線とはすなわち、放射線ですからね。福島第1原発の事故によって、放射線全般に対する警戒感が強まったことで、その実現はさらに遠のいたかなと残念に感じています」
今なお続く飽食の時代にあって、確かに我々生活者の食生活は一見豊かになったようにも思える。しかし、それは同時に、さまざまな細菌や寄生虫が人体に侵入する可能性が大きく拡大したことをも意味していよう。自分の身は自分で守るというのが基本姿勢ではあろうが、電子線滅菌であれ何であれ、1日も早い「決定打」の登場を期待したいものである。
1956年福岡県生まれ、東京大学文学部卒。大手電機メーカー、経営コンサルティング会社勤務を経て、現在は自由が丘産能短大・講師、文筆家、戦略経営協会・理事・事務局長。企業の「経営革新」、ビジネスパーソンの「自己革新」を主要なテーマに、戦略経営の視点から、フジサンケイビジネスアイ、毎日コミュニケーションズなどに連載記事を執筆中。主要著書として、「Google なぜグーグルは創業6年で世界企業になったのか」、「43の図表でわかる戦略経営」、「ヤマハ発動機の経営革新」などがある。趣味は、クラシック音楽、美術、スキー、ハワイぶらぶら旅など。
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