経済指標の発表から景気回復鈍化が懸念されて大幅下落清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年06月02日 08時56分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>9,719.61 +25.88

<TOPIX>839.41 +0.93

<NYダウ>12290.14▼279.65

<NASDAQ>2769.19▼66.11

<NY為替>80.94▼0.59

芳しくない経済指標の発表から景気回復鈍化が懸念されて大幅下落

 朝方発表されたADP全米雇用リポートが予想を下回ったことや前日の大幅高の反動から売り先行となり、午前中に発表されたISM(米サプライマネジメント協会)製造業景況感指数も予想を下回ったことからさらに下げ幅拡大となりました。中国のPMI(購買担当者景気指数)も冴えない数字であり、相変らず日本は原子力発電所問題や政局の混乱から復興もままならず、欧州では金融不安がくすぶり、インドではインフレ懸念からの金融引き締めで景気拡大鈍化が懸念されるといった状況で、QE2(量的緩和)終了後の世界が懸念されて売り急ぐ動きもあったものと思います。

 「5月に株を売れ」とのウォール街の格言通りとなりそうな勢いですが、逆に言えば今度はQE2終了後や世界的な景気拡大鈍化懸念からの下値を模索し、買い場を探すことになりそうです。QE2が終了しても金融緩和政策そのものがいきなり引き締めに変わると言うことでもなく、ファンド筋などの手仕舞い売りが一巡となれば落ち着いて下値を探りながら底堅さも見られると思います。ここから極端に下値を窺うと言うよりは一進一退の展開となって来るのだと思います。

 個別には投資判断の引き下げのあったティファニーが軟調、今期収益見通しを上方修正したメーシーズも軟調となりました。金融株も売られ、JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカ、シティグループなど軒並み大幅安となり、アルコアやキャタピラー、フォードモーターも大幅下落、GE(ゼネラル・エレクトリック)やインテル、IBMなど景気敏感銘柄も軒並み売られました。KKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)は天然ガス・石油鉱区の権益を売却すると報じられたことから逆行高となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株が大幅高となったのですが、前日に大幅高となっていたことで冴えない展開となりました。買い先行となり、堅調とはなったのですが、手仕舞い売りに押されて軟調となる場面もあり、月替わりと言う割に盛り上がりに欠ける展開のなかで指数は小動きとなりました。積極的に買い上がる材料に乏しく、売り急ぐだけの理由も見当たらなと言う雰囲気でした。

 米国株が大幅下落となったことや為替も円高に振れたことから、日本市場も売り先行となりそうです。昨日までの大幅上昇の反動もあり、しっかりと戻った銘柄から売られるような展開になりそうです。ただ、これまで既に持ち高調整の売りに押されていたような主力銘柄も多く、指数は大きく下落する場面もあるのかもしれませんが売られ過ぎて相対的に割安感が強い銘柄などは底堅さも見られるものと思います。世界的な景気鈍化懸念が強まっていることからディフェンシブ銘柄の底堅さが期待されます。

 日経平均は再度9500円〜600円水準での底堅さを試すことになりそうです。昨日の引けの勢いであれば上値の目処とされる9800円〜900円水準を目指すような雰囲気でしたが、米国株が大幅下落となり、シカゴ市場(CME)の日経平均先物やADR(米預託証券)などの動きを見ても、逆に下値の節目を試すことになりそうです。いずれにしても政局の混乱もあり、もみ合いを抜けると言うような状況でもないのだと思います。

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