この奇癖は現状維持バイアスという概念で説明できます。現状維持バイアスとは、現状を変えることの不利益の方が利益よりも大きいと感じ、現状を維持しようとする思考パターンのこと。
実は、この保有効果や現状維持バイアスは、恋愛でも顕著に現れます。「恋人が浮気していそうだけど、別れたくないから追及しない」なんてことはよくありますよね。「恋人の浮気が明らかになって、別れることになったら精神的なショックが大きい。だから、辛いけれど気付かないフリをしよう」と考えるのは、保有効果と現状維持バイアスからかもしれません。
一般的に、恋愛に関しては男性の方が女性よりも未練がましいと言われますが、保有効果が強いんでしょうね。
本題である「経済学的な恋愛アプローチ」について、私見を。
恋人がいない人に告白する時には「試しに3カ月だけ付き合って。3カ月経ってダメだったら別れるから」と告白してみては。「うーん。3カ月だけだったら」とOKしてもらえれば、3カ月後には、保有効果が働いてお付き合いを継続できるかも。
また、恋人がいる人に告白する時には、「今の恋人みたいに●●はないけど、▲▲ならあるよ」という告白はお勧めできません。告白相手にとって●●と▲▲が同じ価値なら、現状維持バイアスで今の恋人を選ぶからです。
行動経済学的には「今の恋人より▲▲はあるよ。●●は同じだけど」と告白するのが正解。とはいっても、恋愛が成功するかどうかはあなた次第ですが。(籔孝昭)
Copyright (c) INSIGHT NOW! All Rights Reserved.
Special
PRアクセスランキング