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» 2011年06月01日 08時00分 UPDATE

それゆけ! カナモリさん:ジーンズの「ボブソン」はいかに再生すべきか? (1/2)

1970年に誕生し、90年代には「04ジーンズ」で一世を風靡したジーンズメーカー、ボブソンが民事再生法を申請した。ファストファッションなど逆風吹きすさぶなか、ボブソン再生はできるのか。

[金森努,GLOBIS.JP]
GLOBIS.JP

それゆけ! カナモリさんとは?

グロービスで受講生に愛のムチをふるうマーケティング講師、金森努氏が森羅万象を切るコラム。街歩きや膨大な数の雑誌、書籍などから発掘したニュースを、経営理論と豊富な引き出しでひも解き、人情と感性で味付けする。そんな“金森ワールド”をご堪能下さい。

※本記事は、GLOBIS.JPにおいて、2011年5月27日に掲載されたものです。金森氏の最新の記事はGLOBIS.JPで読むことができます。


ah_kana1.jpg Creative commons. Some rights reserved. Photo by Funkdooby

 ジーンズメーカーのボブソンが5月2日、東京地裁に民事再生法の適用を申請し、5月6日に手続きが始まった。百貨店などの既存の取引先は打ち切られておらず、営業は継続できるとのことであるが、この後は債権者が納得できる再建に向けた戦略をどう描くかだ。

 「BOBSON」のロゴをご覧になったことがある方は多いと思う。5月17日付日本経済新聞電子版の記事「日の丸ジーンズ『ボブソン』は復活するか」によると、「ボブソンの由来をご存じだろうか。そこにはジーンズ発祥の地、アメリカへの猛烈なライバル心が込められている。アメリカで『ボブ』というよくある名前の人物が、日本製のジーンズを買わずに損(ソン)するくらい立派なジーンズを作って見せるという気概があった」とのこと。国産ジーンズメーカーの雄と言えるだろう。

 5月18日付日本経済新聞では、ボブソンの民事再生法適用申請をからめて、ジーンズ市場縮小の理由をコラム「消費のなぜ」で解説している。タイトルは「振るわぬジーンズ “1000円”乱立の後遺症で苦戦」「値頃感変化 “楽な着心地”流行も逆風」とあり、都内の専門店の写真に「従来のジーンズがチノパンなどに押されている」と説明が加えられている。

 2009年にファーストリテイリング傘下・ジーユーが990円ジーンズを発売したことを皮切りとして、西友やイオン、ドン・キホーテなどの流通がPB(プライベートブランド)の安価品を相次いで発売し、1000円を切る商品が乱立。「ジーンズデフレ」とでもいえる様相を呈した。記事では「消費者が適切価格を見失い、さらに従来の7〜8000円という価格に対しても不信感を抱くようになった」ということがジーンズ不振の一因であると指摘している。

 また、代替品の存在も大きいという主旨も解説されている。男性はビジネスカジュアル対応可能なチノパンツ、若年男性は楽なカーゴパンツにジーンズの着用機会を奪われた。女性の場合はレギンススタイルがジーンズスタイルを代替したのである。

 それらに対抗し、新たなブームを創造するため、ジーンズメーカー各社は体型補正などの機能をうたう商品を投入し始めたとある。ストレッチ素材の採用や立体裁断・縫製を施し、細かなサイズ対応を展開した商品のことであろう。

 同日の日経MJにはボブソンの代表取締役であり、投資会社のマイルストーンターンアラウンドマネジメントの社長である早瀬恵三氏のインタビュー記事が掲載されている。復活策の中心は「直営店を2倍(6店を12店)にし、売り上げに占める比率を2割から4割にすること」であり、出店の初期投資も極小化できる見込みだという。

 また、市場観については、日経記事指摘の「ジーンズ市場縮小」に関して「アパレル全般に比べれば状況は良い」とコメントしている。さらに、「デニム素材のジーンズにこだわらず、パンツ全体で見れば、メーカー数はトップス(上着)に比べれば少ない」と、業界内の競合状況が意外と激戦でない様子を明かしている。そして、インタビューの締めくくりとして、「総合パンツメーカーとして生き残る道はある」とも語っている。

 マクロ環境で考えれば、経済がデフレ化し、さまざまな市場で価格破壊が起きた。社会的には、「ファストファッションブーム」が起きて、「安いこと」は消費者の重要なKBF(Key Buying Factor=購入主要因)となり、安いがゆえにさまざまなスタイルを試す機会を創出した。技術的には、「安いけど高品質(ユニクロ)」や「安いけどオシャレ(外資系ファストファッション)」と従来のバリューラインを上回るポジションを獲得できる生産技術が登場した。

 顧客のニーズを考えると、もはやジーンズはファッションの中心にはなり得ず、多々あるアイテムの「one of them」でしかなく、高額(従来の7〜8000円)で購入する理由はない。また、ジーンズスタイル以外の選択も多いため、ジーンズそのものに対するニーズは減少している。特に女性のレギンススタイルはジーンズだけでなく、パンツ(ボトムス)縫製メーカー製品を選択しなくなっているため、「顧客消失」という状況に近い。それに対して、男性層には「使い回しがきく」「楽」など、ジーンズ以外のパンツには明確なニーズが健在している。

 競合を見れば、ジーンズメーカーにとっては、ボブソンの代表取締役・早瀬氏のコメントの言うように、狭い「パンツメーカー業界」だけでなく、ユニクロやファストファッションメーカーもジーンズ代替としての競合となる。そして、各社はジーンズだけでなく、幅広いスタイル提案と品揃えがある。

 では、自社の生かすべき強みと克服すべき弱みは何か。また、KSFは何なのか。

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