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» 2011年05月27日 08時00分 UPDATE

菅野たけしのウォッチWatch:世界最古のデジタルウオッチ!?を探しに諏訪へ (1/2)

時計ファンにとっては、まさに聖地巡礼の旅。日本のスイスとも称される長野県は諏訪にある「諏訪湖 時の科学館 儀象堂」を訪ねました。大人の社会科見学、時計編です。

[菅野たけし,Business Media 誠]

 世界最大の時計イベント「バーゼルワールド」はスイスで開催されるだけに、誰もが気軽に訪れるわけにはいかないけれど、日本国内の時計ミュージアムなら週末を利用して行けるかもしれない。

 ということで今回は、4月の週末を利用して訪れた「諏訪湖 時の科学館 儀象堂」という時計ミュージアムを紹介します。東京から中央高速を利用してクルマで2時間半。日本のスイスとも称される長野県は諏訪の「諏訪大社下社秋宮」近くに、儀象堂はあります。

ウォッチWatch 諏訪湖 時の科学館 儀象堂
ウォッチWatch 水運儀象台

 ひときわ目を惹くのはミュージアム中庭にある「水運儀象台」。水の力で水車を規則正しく回転させ、時刻を告げるだけでなく、星や太陽の動きを調べて1年の長さを測る天文台としての機能も備えています。

 この水運儀象台が作られたのは今から約900年前の中国・北宋時代。ここにあるのは、首都の開封に建設された大型の天文観測時計塔を、下諏訪町が世界で初めて完全復元したものです。

 このほかにも施設内には、柱時計、置き時計、腕時計などの希少な時計コレクションの展示、時計の変遷を映画で紹介するシアター、時計手作り体験工房などもあり、時計ファンならずとも、ぜひ一度は訪れてもらいたいミュージアムです。


とにかく“デカい”、水運儀象台

 高さ12メートル、土台の底辺が一辺6メートルの水運儀象台の第一印象は“デカい”のひとこと。時刻を知らせる“報時”と、天文観測の機能をそなえた“天文台”としての役割を果たしたこの装置は、当時の権力者の象徴でもありました。新しい王朝が成立すると、新たな天文台が建築され、標準時を決めていたのです。

 内部は複数の機械を組み合わせた構造で、(1)動力装置(2)報時装置(3)渾象(こんしょう)(4)渾儀(こんぎ)の4つで構成されています。これらの動力源はすべて水力。箱に注がれた一定量の水が回転する際、水車の歯車が一歯ずつ進むよう、時計のてんぷに相当する2つのストッパーが回転数を正確にコントロールし、一定スピードで回転するよう設計されています。時計の脱進器に相当する装置ともいえるでしょう。

ウォッチWatchウォッチWatch 動力源はすべて水力

 建物は5つのフロアからなり、時刻を書いた牌とよばれる札をもった複数の人形が建物正面の小窓に現れる姿は、まさしくデジタルウオッチの原点ともいえる光景です。また、2時間ごとに鐘を打って知らせてくれるリピーター機能も備えています。

 ちなみに当時の中国の時刻表示は、1日を12等分して十二支(じゅうにし)で時刻をあらわす12時制と、1日を100等分する百刻制(ひゃくこくせい)が用いられていました。

ウォッチWatchウォッチWatch デジタルウオッチの原点?

 3階の渾象と4階の渾儀は、現代のプラネタリウムと望遠鏡に相当する装置。水車の動力を利用して正確に星の動きを追う自動追尾も可能です。直径1.7メートルの渾象には、283星座と1464個の星が描かれています。

ウォッチWatchウォッチWatch 現代のプラネタリウムと望遠鏡に相当

 900年も前に、当時の中国の叡智を集めて制作された水運儀象台。時計のルーツともいえるこの天文時計は、ちょっとした建築物に匹敵する大きさです。もちろん携帯することはできませんが、人類はその後、携帯できるサイズまで時計の小型化に成功しました。こうした時計の歴史的な変遷は、ミュージアム内のシアターで分かりやすい映画として上映されていますので、こちらもぜひチェックしてください。

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