コラム
» 2011年05月24日 08時00分 UPDATE

JINSはメガネ業界の“ユニクロ”

成熟市場であるメガネ業界にあって、JINSが元気だ。JINSのビジネスモデルは、ユニクロ型のビジネスモデルであり、成熟市場で苦しんでいる企業にとって、参考にすべきことが多い。

[籔孝昭,INSIGHT NOW!]
INSIGHT NOW!

著者プロフィール:籔孝昭(やぶ・たかあき)

AllAboutガイド。金融機関で新規事業の立案や子会社の設立など企業経営全般に携わるとともに、大学や企業で「論理思考」や「マーケティング」に関する講義を行う。そこで、企業が求める人材と学生のギャップを目の当たりにして、教育業界に転進。現在は、AllAboutで中学受験のガイドを担当するかたわら、雑誌・新聞などに寄稿をするとともに、私立小学校の設立に向け活動中。


 メガネの市場規模はこの10年間で6000億円から4000億円まで縮小した。「市場規模=購入者数×単価×購入頻度」だが、購入者数が10年で3分の2まで縮小するとは考えられない。市場規模縮小の大きな原因は、単価と購入頻度の低下だろう。

 従来のメガネ業界では、店舗は 幅広い品ぞろえを重視する「百貨店型」が多く、高コスト体質であったにも関わらず、代替品であるコンタクトレンズの脅威により販売価格が下落。メガネ=視力補正という医療イメージが強かったため、購入頻度は低いままであった。

 そんな成熟市場にある眼鏡業界でJINSの快進撃が続いている。JINSが成功した理由は何だったのか?

 JINSのメガネはレンズセットで4990円からの低価格。100万本を突破した軽量フレームのエア・フレームは、生産工場への発注量が1回5万本。これだけを見るとJINSの戦略はコストリーダーシップのようにも思える。

 しかし、コストリーダーシップと低価格戦略は違う。コストリーダーシップとは業界1位の企業がスケールメリットを生かして、価格は競合同様またはそれ以上で利益を最大化することである。業界1位企業は下位企業のチャレンジをつぶすために意図的に低価格戦略を採る場合もあるが、低価格戦略を通常の戦略としては用いない。業界1位の企業が低価格戦略を採れば、下位企業はそれに追随して低価格戦略を採らざるを得ないので、市場規模が縮小してしまうからだ。

 私は、JINSの戦略は市場シェアを拡大し、業界上位を狙う戦略であり、差別化であると考える。差別化戦略には、機能を付加して高価格で売るという戦略、標準化を進めて低価格で売るという戦略などがある。

 JINSは、2010年にアニメ『ONE PIECE(ワンピース)』とコラボレーションしたオリジナルの限定メガネ&サングラスを発売した。コラボメガネに採用された全9人のキャラクターたちは実際にはメガネを掛けていないが、広告ではめがねやサングラスをかけて登場したことで話題に。発売から5日間で約1万2000本の売り上げを記録し、大ヒット商品となった。 アニメとのコラボレーションによる限定メガネ&サングラスの成功要因は、特定の顧客のニーズを満たす差別化戦略である。

 JINSのメガネは、フレームの色は豊富であるが、フレームの形は同じものが多い。一般的には、成熟市場では顧客のニーズは細分化されると考えられる。一方、人間が十分に吟味できる選択肢は7つくらいとも言われている。 エア・フレームを始めとする最低限のバリエーション・大量・低価格販売には、標準化を進めて低価格で売るという差別化戦略である。

 JINSのビジネスモデルは、ユニクロ型のビジネスモデルであり、成熟市場で苦しんでいる企業にとって、参考にすべきことが多い。(籔孝昭)

 →籔孝昭氏のバックナンバー

関連キーワード

メガネ | 企業


Copyright (c) 2017 INSIGHT NOW! All Rights Reserved.

注目のテーマ

マーケット解説

- PR -

ITmedia 総力特集