買い手控え気分の強い中で大幅下落清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年05月23日 17時00分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 先週末の米国市場が軟調となったことや世界的な景気鈍化懸念、欧州金融不安などが強まり、売り先行となりました。それでも、週末のヘッジ売りの買い戻しや外国人が買い越し基調と伝えられたことから底堅い始まりとなりました。ただ、その後は戻りの鈍さを嫌気しては売り直されるという展開で大幅安となり、ユーロ安が進んだことも信用収縮懸念につながって買い手控えられ、値動きの悪さから見切り売りが嵩み、持高調整の売りも見られ大きな下落となりました。

 最近始まったことでもないのですが、何をみて株式を売り買いするのかと言った「投資の基準」、売り買いの判断基準がわからなくなっているのではないかと思います。決算発表に反応する動きも決算の結果を分析するということでもなく、決算を発表したのかどうかということで動いているような面もあり、何が割安で何が割高なのかの判断基準も上がれば「割安だった」と言うことになり、下がれば「割高だった」と言うことになってしまうような感じです。

 今週の相場も米国の景気動向や世界的な景気動向、あるいは金利動向などに反応するというよりは売られるから売る、買われるから買うという目先の値動きを重視した動きに過ぎないのではないかと思います。投資をするにも判断基準をしっかりと持って投資をする人も少なく、安いところを買って高いところを売る、と言うよりは買ってみて高くなれば売り、高くならなくても売る、と言うような売買が多いような気がします。もちろんトレンドに乗るように上がるものを買い、下がるものを売るということなのですが、上がるか下がるかわからないものを上がるのか下がるのか「一か八か」と言うような買い方、売り方をしているものが多いのではないかと思います。

 また、「こういう場合はかつてはこうだった」とかこういう状況では上がるには時間がかかるというような相場感や経験則も持たずに、何となく「これだけ売られたから上がるだろう」とか安くなったから反発するだろうと言うような根拠のない相場の見方をする向きも多いような気がします。しっかりと相場の大きな方向感を持ち、今はどうするのが一番いいのかを考え、実行することが大切なのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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