欧州金融不安から一時大幅下落、商品先物相場の持ち直しで下げ渋り清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年05月23日 08時30分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>9607.08▼13.74

<TOPIX>827.77▼4.12

<NYダウ>12512.04▼93.28

<NASDAQ>2803.32▼19.99

<NY為替>81.66△0.01

欧州金融不安から一時大幅下落、商品先物相場の持ち直しで下げ渋り

 ギリシャ国債の格下げのニュースが伝わり、再び欧州での金融不安が強まり週末の手仕舞い売りもあって売り先行となりました。先週発表された経済指標も冴えないものが多かっただけに芳しくない小売企業の業績の発表などが見られると個人消費の落ち込みなどを懸念して敏感に反応しててしまうようです。新興国でのインフレ懸念からの景気拡大鈍化やQE2(量的緩和)後の金融政策に対する懸念も根強く、景気回復傾向を織り込みつつも軟調となりました。

 商品相場も欧州金融不安からの信用収縮懸念で売られ週末の手仕舞い売りも重なり軟調となる場面もありま、株式市場も信用収縮懸念=リスク許容度の低下から売り急ぐ動きもありました。ただ、金先物がリスク回避先として買われ、原油先物も買い戻しなどから堅調となると資源エネルギー株を中心に買い戻しや買い直しが入り、指数は下げ渋りとなりました。QE2後を織り込みながら、景気回復度合いに合わせるような動きが続くものと思われます。

 個別には前日の引け後に発表した2−4月期決算が減収減益となり、業績見通しの引き下げもあったギャップが大幅安、連れてホーム・デポやウォルマートなど個人消費関連銘柄が安く、米連邦検察当局からの召喚状を受け取る見込みと報じられたことや欧州金融不安からゴールドマン・サックスが売られて大幅安、欧州金融不安からJPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカなど金融株は軟調となりました。インテルやIBMなどのハイテク銘柄やキャタピラーやアルコア、GE(ゼネラル・エレクトリック)などの景気敏感株も景気回復鈍化懸念から売られました。原油や金の先物が堅調となったことで、エクソン・モービスなどの石油株やパブリック・ゴールドなどの金鉱株が堅調で指数の下支えとなりました。

本日の相場

日経平均

 先週末の日本市場は米国株高などから堅調となる場面もあったのですが、方向感に乏しく冴えない展開となりました。主力銘柄が売られ、幕間つなぎ的に個別に物色されると言う展開で、指数の方向感は見られませんでした。週末ということで持高調整の売り買いが中心で懸念材料が多いなかでは週末にしっかりと持ち高を増やすと言うような展開にはならないものと思われます。

 米国市場が軟調となったことや原子力発電所事故の問題などから売り先行となりそうです。週末のヘッジ売りの買戻しも入り底堅い始まりとなるのでしょうが、原子力発電所事故をめぐり、復興需要に対する期待もそがれ、また、復興の財源を国債発行で賄うとの意見が見られたことで、債券市場が軟調となると株式市場にも影響が見られるものと思われます。先週まで続いていた持高調整の売りが一巡となれば出遅れ感が強いことや為替が比較的落ち着いていることから、ハイテク銘柄などの買戻しや値ごろ感からの買いも見られ、指数を下支えすることになるのでしょう。

 欧州での金融不安を受けて再度下値を試す動きとなりそうです。下値の節目は相変わらず9500円〜600円水準と見られ、復興需要期待がはげるとか、新興国での景気拡大が鈍化すると言うこと、また原子力発電所事故の悪化がなければ9500円前後では底堅さも見られるものと思われます。持高調整の売りが一段落となり戻りを試す展開となっても引き続き9800円〜900円水準では上値も重くなりそうです。本日は9500円台での動きとなるものと思います。

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