さて、次のステップ、「編集者と折衝」ですが、ここで大事なのは、とにかくたくさんの編集者の方に会うことだと思います。そのココロは「相性」があるから。
今回の私の著書『ほんとうに使える論理思考の技術』も、最初に話をしてから上梓までは1年半ほどかかりました。その間、二人三脚で本を作っていくわけですから、相性が合わない編集者の人に当たってしまうと、苦痛以外の何者でもありません。
しかも、本という商材は究極の「見込生産」なため、読みを誤ると「あんだけ苦労して書いたのに、売れないじゃないか」となってしまいます。
この「読み」は多分編集者だけでも無理で、もちろん著者だけでは不可能で、2人の「異見」のぶつかり合いによって生まれるものだと思うのです。
これを可能ならしめるには、いろんな意味での相性の良さが必要です。たぶん、コミュニケーション・スタイルが合わないのはダメ。かといって、あまりにも似たような人と組んでも発想が広がらないからダメ。敬意を持ちつつも、言いたいことを言い合える関係がいいと、個人的には思っています。
今回は担当編集者のN村さんという、ビジュアルで考えるのが得意で、文章をバッサリ切るという「Sっ気」がある人を得て、執筆の作業自体も楽しく進めることができました。自分の書いた文章を斬られる快感に目覚めたのは、私にとっても新たな体験です。
と、相性が良い編集者に巡り会って、企画を詰めて、あとは出版社の社内企画会議を通れば、いよいよゴーサインです。もちろん、企画を出したけれども社内の会議を通らなかった、という残念な結果になることもありますが、それはある意味仕方のないことなので、その企画を寝かせてまたのチャンスを待てばよいかと思います。
ちなみに、私自身の企画書の「勝率」、すなわち、企画書を出して出版に結びついた確率は、2勝3敗1引き分け、ぐらい。もちろん企画自体の良し悪しもありますが、時代の流れにマッチしているかどうかもあるので、あまり1つの企画にこだわらない方が良いのではないでしょうか(これには異論があるかな)。
出版のゴーサインが出たら、改めて企画の再構成に入るわけですが、ここで考えるのは、「いかに売れる本にするか」です。これは、先ほども紹介した「エース級」編集者のインタビュー記事などを読んで考察しました。
まだ人に発表するほどまとまっていませんが、「お得感を演出するV字回復の法則」とか、「あるある感をつくる6:3:1の法則」とかにまとめられるとの仮説を持っています。
今後、本のプロモーションを通して分かったことともに、機会があればまた共有させていただきますが、とりあえず本稿は、いったん終了と致します。(木田知廣)
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