本の出版でブランド構築するための7ステップ(1/2 ページ)

» 2011年05月20日 08時00分 公開
[木田知廣,INSIGHT NOW!]
INSIGHT NOW!

著者プロフィール:木田知廣(きだ・ともひろ)

シンメトリー・ジャパン代表。米国系人事コンサルティングファーム、ワトソンワイアットで、成果主義人事制度の導入に尽力。欧州留学を経て、社会人向けMBAスクールのグロービスの立ち上げをリード。2006年、経営学の分野で有効性が実証された教育手法を使い、「情報の非対称性」を解消することをミッションとしてシンメトリー・ジャパンを立ち上げる。


 「本を出すには、どうしたらいいんですか?」という質問をいただくことがよくあります。

 私も2冊目の著書を出したばかりですから、自信を持って「こうすれば出版できる!」と答えられるレベルではないというのですが、それでも苦労をした分だけ何がしかの参考にしていただけるかと思い、経験を共有させていただきます。

 実際、私自身の経験から言っても、本を出しているというだけで人間力が5倍ぐらいアップする感じ。例えて言うならば、ピカチュウがライチュウに進化するようなものでしょうか。もちろん、自分自身が大きく変わるわけではないのですが、著書があるかないかで人からの見え方はずいぶん違うようです。

 「有名人経済」とも言われるように、人からの評価がビジネスにおいて価値を増す中、士業で独立されている方はもとより、会社勤めのビジネスパーソンでも自分のブランドを立てることが成功パターンの1つになっているようです。本の出版に取り組む1つのきっかけに、本稿がなれば幸いです。

 さて、ものすごく分かりやすく言うならば、本の出版でブランドを築くまでは次の7ステップで説明できます。

1. 企画書作成

2. 編集者と折衝

3. 企画再構成

4. 執筆

5. 編集

6. プロモーション

7. 展開

 私自身が一番ハードルが高いと感じたのは、何と言っても1番の「企画書作成」。近著『ほんとうに使える論理思考の技術』の企画書も、初めのころの企画書はたどたどしくって、今読み返すと自分でも恥ずかしくなります。最終的にはバージョン5までブラッシュアップして初めて、担当の編集、中経出版のN村さんのお眼鏡にかなうものになりました。

 そんなに苦労してしまった理由は何かといえば、ビジネスでもっとも基本的な、顧客(読者)のこと、競合(類書)のことが分かっていなかったから。それなのに自分の想いだけは強くって、独りよがりな企画書になっていて、これを編集のプロに見せたんだから、ホントに赤面ものです。

 企画書作成のカギは、ものすごくベーシックなことなのですが、ビジネスの3C、つまり、顧客(読者)、競合(類書)、自社(自分が書きたいこと)の整合性をとるところにポイントがあると思いました。

 ただ、類書に関しては注意が必要で、むしろ類書がある方が編集者からのウケはよさそうです。つまり、「類書がない=マーケット(読者層)がない」と見られてしまうようで、出版の世界においては「ナンバーワンよりオンリーワン」という戦略は当てはまらないようですね。むしろ、売れている類書を念頭に研究して、それとどのように差別化を図るか、を考えるのが王道と言えましょう。

 最近やたらと「もし女子高生が●●を読んだら」みたいな本をよく見るのは、気のせいではないでしょう。編集者の方も人の子ですから、売れる本にしたいと思うのは当然でしょうし。

 ただ、版元各社の「エース級」と呼ばれる編集者の人がいて、私もTwitterなどで5人ぐらいは常にウォッチしているのですが、彼らは独自の方法論を持っていて、人マネはあまりしないような気がしますね。

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