手掛かり難のなか持高調整の売りに押される清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年05月19日 16時16分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 米国株高や為替の落ち着き、商品相場が堅調となったことから買い先行となりました。外国人も買い越しと伝えられたことで、寄り付きの買いが一巡となった後は上値も重くなったのですが、値持ちも良く、方向感のない小動きとなったのですが、堅調な地合いが続きました。売り買いともに材料不足で方向感はなかったのですが、上値の重さが気になると寄り付き前に発表されたGDP(国内創生産)が予想を下回ったことや、半導体銘柄に対する外資系証券のネガティブなレポートが取りざたされて売り急ぐものも見られました。

 手掛かり難となる場面ではちょっとした材料で大きく反応することも多くなるようです。本日のGDPの発表でも当初は「材料視されず」と言う雰囲気であったのですが、指数が軟調となりだすと「GDPが下振れしたから売られている」などと言う話にあんっています。単純に持高調整の売りが出ていただけなのですが、外資系証券がネガティブ(悲観的な)レポートを出したと取りざたされて半導体株が大きく売られてみたりと、株価を動かすようなニュースもニュースがあって株価が動くのではなく、株価が動いてニュースを探すということが多いような気がします。

 単に持高調整の売り買いや、手仕舞いのためにまとまった売りが出たものを「誤発注」だと言って大騒ぎすることもありますが、現状の株式市場で主流となっている「アルゴリズム取引」いわゆるシステマティックに注文が執行される売買に振らされてしまっている面も多いのではないかと思います。日経平均がいくらになった時に、まだ株価がいくら以下であれば買い、とかいろいろなパターンがありますが、いずれにしても目先の値動きなどをみて株価を動かすというような面もあると思います。

 本来の株式投資と投機の動きが混在していることは流動性の確保と、取引に厚みが出ることで望ましいことではあるのですが、いつもこのコラムで述べているようにあまりにも一方向に動きが出易いということや理由もなく動いたものでも平気で動いた方について行くことが多いのではないかと思います。それはそれで立派な(?)投資や投機の仕方ですができれば人の後をついて行くばかりではなく人の動きの半歩先を読んで動きたいものです。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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