「コンドーです、ロコンドーです」――Web靴販売の起業で常識を破れ郷好文の“うふふ”マーケティング(1/3 ページ)

» 2011年05月19日 08時00分 公開
[郷好文,Business Media 誠]

著者プロフィール:郷 好文

マーケティング・リサーチ、新規事業の開発、海外駐在を経て、1999年〜2008年までコンサルティングファームにてマネジメント・コンサルタントとして、事業戦略・マーケティング戦略など多数のプロジェクトに参画。2009年9月、株式会社ことばを設立。12月、異能のコンサルティング集団アンサー・コンサルティングLLPの設立とともに参画。コンサルタント・エッセイストの仕事に加えて、クリエイター支援・創作品販売の「utte(うって)」事業、ギャラリー&スペース「アートマルシェ神田」の運営に携わる。著書に『顧客視点の成長シナリオ』(ファーストプレス)など、印刷業界誌『プリバリ[印]』で「マーケティング価値校」を連載中。中小企業診断士。ブログ「cotobike


 「カリアゲ、カラアゲ」「バンビ、ゾンビ」「コンドーです、ロコンドーです!」

ロコンド.jp CM 一文字違い(カリアゲ・カラアゲ編、近藤正臣)

 土佐藩主、山内容堂公を彷彿(ほうふつ)とさせる殿様姿で、俳優の近藤正臣さんが「1文字違うと全然違う」とのたまう。2010年のNHK大河ドラマ『龍馬伝』での迫力あふれる好演の余韻を漂わせるのは、2月15日に誕生したばかりなのに“日本最大級の靴のショッピングサイト”という「ロコンド.jp」のCM。

 何しろ2011年春夏シーズンの品揃えは500ブランド、3万スタイル、40万足。限定品から定番まで、ヒップもトラッドも、老若男女くまなくのジャンル展開。Webサイトとして他を圧倒するのはもちろん、この規模のリアル店舗もない。しかも、ほとんどの商品在庫を新三郷のセンターに集約し、99日間返品自由(無料)、電話で購入相談もできる。

ロコンド.jp

「オレが側に寄っても、お弁当を食べてる女子がいる」

 近藤さんは“おもてなし”がコンセプトのWebスタートアップ企業にほれてCM出演を快諾した。

 「普通は昨日できた会社がCMはしないし、昨日入った人が社長にはならない。ましてそんな新しい会社がオレのような50年も芸歴がある俳優を起用しない。それをやるロコンド.jp、面白いと思ったんだ」

 連休前の4月下旬、ロコンド.jpを運営するジェイド(東京都渋谷区恵比寿)に近藤さんが来社。ニコニコしながら社内を1周。靴の相談ができるコンシェルジュ担当のところで「オレの代わりに注文してくれる?」「はい大丈夫です」「こういうのを1つ頼むよ」。ロコンド.jpでは、お勧めしてくれるだけでなく、ネットの使い方まで電話で指導してくれる。

社内を回る近藤さん

 来社のもう1つの目的は「一文字違い大募集!」のダジャレ企画最終選考。ネットで募集した多数の“第二のカリアゲ・カラアゲ”候補がずらり。近藤さんはCMプランナーと並んで選考に臨んだ。「オレはこれが好きだ」、近藤さんのひと言でグランプリが決定。CM第2弾のネタ候補なので書けないのがザンネン、オンネン。ダメだな、これ(笑)。

ダジャレ企画最終選考の様子。ピーマンは極秘事項を隠すためのもの

 「クライアントに行くと、三顧の礼で迎えられて社長室に通される。だから滅多に行かない。でも、ここは来たくなった。来るとオレが側に寄っても、お弁当を食べてる女子がいるだろ(笑)」

 社内を見渡すと、ベンチャーにありがちな「成長するぞ」というギスギスさや悲壮感がない。バランスボールが転がり(いすの代用)、平均社員年齢28歳の若者たちの笑顔が広がる。

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