コラム
» 2011年05月19日 08時00分 UPDATE

あなたはどうする? 住まいの選び方:1000万円以下の家は本当に大丈夫なのか? (1/3)

長引く不況などの影響を受け、住宅メーカーは低価格の家を提供するようになった。中には1000万円を切る家もあるが、品質は本当に大丈夫なのだろうか。安い家のカラクリに迫った。

[権田和士(日本エル・シー・エー),Business Media 誠]

権田和士(ごんだ・かずひと)のプロフィール

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早稲田大学卒業後、日本エル・シー・エーに入社。現在は同社で執行役員。住宅業界向けコンサルティングで、日本最大規模の実績を誇る住宅不動産事業部の事業部長を務め、これまで50社以上の支援を行う。1年間のうち、300日以上講演や研修を行い、その研修生は年間でのべ4000人以上に及ぶ。住宅・不動産業界の未来を見据えた業界動向のほか、全国各地の工務店やデベロッパー、ハウスメーカーの個別事情に精通している。

また住宅業界の専門誌などで、数多くのコラム連載を行っている。経営コラム「住宅業界を斬る!」を連載中。


 新聞の折り込みチラシやWebサイトで、1000万円以下で購入できる住宅(戸建・マンション)を見たことはあるだろうか?

 長く続く不況や年々下がり続ける日本人の平均年収の影響により、「ローコスト住宅」や「コンパクトハウス」と言われる低価格の住宅商品を、工務店やハウスメーカーが提供するようになっている。中には1000万円を下回るような住宅商品も少なくない。

 将来、住宅購入を考えている人であれば、低価格商品を以前より目にすることが増えていることだろう。しかし「安かろう悪かろう」ではないが、「品質は大丈夫なのか?」という疑問も消費者の心理として浮かんでくるのは当然のことだ。

 そこで今回は、低価格の住宅商品がどのようなカラクリででき上がっているのかという点について切り込んでいきたい。

「引き算」の発想で成り立つ低価格商品

 当たり前の話だが、「商品の価格が下がる」ということは企業側が利益や原価を削るか、もしくは消費者側が何かを我慢するかのどちらかしかない。注文住宅の購入において、今までは消費者が「品質を下げる」ことで、低価格の住宅を購入することが多かった。資材費や設備費のコストを「引き算」して、自分たちの懐に合わせて「ローコスト住宅」の購入が進んでいった(品質の引き算)。

 しかし、野村総合研究所の生活者1万人アンケート結果から分かるように(参照リンク)、近年では経済性を意識しつつ「品質」や「自分のライフスタイル」を重視して商品を選ぶ消費者の割合が増えてきている。年々、平均年収が下がり続ける中、「価格に無理はしないけれど、品質にも妥協したくない」と思う消費者が増えていき、「コスパ世代」と言われる新しい消費者層が増えているのだ。

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 コスパ世代が台頭することで、住宅購入においても新しい「引き算」が生まれている。

 今までは「ローコスト住宅」に代表されるように品質を落として価格を落とす消費者が多かったのに比べ、最近では品質を落とさずに「自由度」を引き算する企画住宅を選択する傾向にある。企画住宅とは、あらかじめ設計仕様が統一されており、資材の計画発注・大量発注などによるコストカットや設計の手間を減らすことによって低価格を実現している住宅商品だ(自由度の引き算)。

 品質は落として価格を落とす「ローコスト住宅」から、品質は落とさずに価格を落とす「ロープライス住宅」がコスパ世代に受けいれられている。

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