持高調整の買い戻しが入り一時大幅高清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年05月18日 16時01分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
前のページへ 1|2       

明日の相場雑感

 米国株は冴えない展開となりましたが、まとまった買い戻しや持ち高調整の買いが見られ、一時大幅高となりました。海外市場で円安に振れたことで輸出株が買われるかと思われましたが案に反して内需銘柄の買いが集まり、指数を押し上げる要因となりました。昨日まで売られていた電力株や半導体株などが買われるなどいわゆる「リターンリバーサル」=売られたものが買われ、買われたものが売られるような場面もありました。

 朝方は円安を好感する動きもありましたが、その後円高に振れてから指数が上げ幅を広げる場面もありました。昨日は円安にも関わらず売られるという状況であり、これまでの円安→輸出株の収益好転→株価上昇と言うことから少し変化が見られるのではないかと思います。昨日世界の株式指数の算出に採用されている銘柄から日本の銘柄が20銘柄除外されるというニュースがありましたが、そういう流れもまだあるのではないかと思います。6月と言う月はファンドなどの決算の月でもあり、5月に解約などの売りが出ることも多く、米国では「5月に株を売れ」などとも言われます。

 一昨日までの下落や本日の上昇の動きも多分に持高調整の売り買いで指数が振らされている感も強く、本日はこれまで売られていた銘柄が買い戻されているということではないかと思います。まとまった買い戻しが見られると「日銀が買っている」と言われて目先筋の買いを誘うこともあり、そうした目先の需給要因で動いている面はあるのではないかと思います。日銀が買うということで、ETF(上場投資信託)の組成の動きもあるのかもしれず、これまで保有の多かった銘柄を売却し、保有の少なかった銘柄を買うという持高調整などが見られても不思議はないと思います。

 外国人が買っているなどと言われて安心している面もありますが、本当に原子力発電所問題などから日本からの撤退を考えるのであれば買い戻すということも考えられ、一概に外国人が買っているからと安心してもいられないのではないかと思います。昨日の今日で外国人がここから買いに転じると考えるよりは手仕舞いの買い戻しと考えても良いのではないかと思います。外国人買いを期待するように周りの動きばかりを気にする投資よりは、今日業績が期待される銘柄、将来性のある銘柄の安いところをしっかりと拾っておくということが良いのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.