コラム
» 2011年05月18日 08時00分 UPDATE

「半農半X」 ビジネスコンサルタントと、農業と……:『シルシルミシル』がダメ(?)なワケ――テレ朝に学ぶコンサル的発想(後編) (1/2)

ここ数年、マーケティングに勢いが出てきたテレビ朝日、かなりの高確率でヒット番組を生み出している。しかし、ビジネス手法として優れているものの、あまりに使い回し過ぎているため、視聴者は食傷気味となっているのではないだろうか。

[荒木亨二,Business Media 誠]
誠ブログ

 不況の時代、テレビ各局は予算の削減を迫られており、何とか低コストで良質の番組を作ろうと知恵を絞っている。そのようななかで頭一つ抜け出した感があるのがテレ朝のマーケティングである。ポイントはいたってシンプル、“企業PR”に活路を見出したことである。

 →『アメトーーク』はなぜ流行る?――テレ朝に学ぶコンサルタント的発想(前編)

 →家電芸人、徹子の部屋芸人の迷走――テレ朝に学ぶコンサル的発想(中編)

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 広告枠でなく“番組内”で、1つの企業を大々的に取り上げる手法。舞台はバラエティ、PR対象は飲食メーカーや飲食チェーンという構図を基本形としている。PRする企業のメニューを芸人に面白おかしく食べさせつつ、メニュー開発の裏側やちょっとしたエピソードなどを織り交ぜ、イメージアップや宣伝を兼ねてしまうというスタイルである。

 例えば『お試しかっ!』の「帰れま10」という企画。芸人が数人で外食チェーンのリアル店舗に出向き、お店のメニューを次々と食べていきながら、最終的に人気トップ10を当てるまで帰れない=食べ尽くすという趣向である。

 バラエティ的には、芸人がお腹いっぱいで苦しみながらも食べ続ける映像が欲しい。飲食店としては、なるべく多くのメニューを食べてもらう(紹介してもらう)方がうれしい。芸人たちはお腹いっぱいでもう食べたくないと泣き言を言いながらも「これ、超うまい〜」などと、笑いのない賛辞の言葉を送る。

 テレ朝は低予算で視聴者の関心を集めることができる。スタジオでなくお店収録のためセットを組む必要がなく、少ない出演者でギャランティーを抑えることができるなど、製作費を抑えることが可能となる。

 取り上げられる企業は最大限にPRの恩恵を受けることができる。莫大な広告費用がかからない上に、企画の主役であるために露出時間は大変長く、細部に渡って紹介されるため、通常のAD・PR以上の大きな成果を得ることができる。

 もちろん、視聴者にとってもメリットがある。どこの町にもある“身近なグルメ”であるため、親近感を持ちやすい。ヘビーユーザーでない限り紹介されるメニューは新たな発見ともなり、「明日にでも久々に行ってみようかしら?」という楽しい気持ちにさせる。

 カタチを変えたグルメ番組である。グルメ番組のふりをしたバラエティである。正確にいえば“バラエティの体裁を整えた企業PR”であるのだが、この手法は大変優れたマーケティングによって作り込まれている。

 テレビ局、飲食企業、視聴者……、三者が誰も損をしないのだ。これで数字が獲れるのならテレビ局は万々歳、飲食企業は売り上げがアップし、視聴者は喜んで食べる。完璧なトライアングルが出来上がっており、テレ朝のマーケティングセンスが見事に具現化されている。

 どこに問題があるのか?

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