日本型雇用のココが問題――厳しい就活を強いられる学生たちちきりん×城繁幸の会社をちゃかす(4)(4/4 ページ)

» 2011年05月18日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
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年功序列のシステム

ちきりん:職場には、セミナーや説明会で話していることと全く違った現実があるわけですよね。

城:タイムカードを切って、その後に残業していたり。そんな姿は見せられないなあ(笑)。

ちきりん:たかだか大阪に出張するのに上司のハンコが4つも必要だったりとか(笑)。

城:フレックスタイムなのに、全員が朝の9時までに出社していたり。

ちきりん:「弊社はITを駆使している」とうたっているのに、部長は自分でメールを書かない。部下に書かせていたり,プリントアウトしてファイルしていたり(笑)。

 さっきの「外部者を入れない東京電力」と同じで、職場に学生を入れる本当のインターンをしていない会社は「何か隠し事をしているのでは」とうがった見方ができますよね。

城:すべての企業が開かれたインターンを行うと、学生の大企業志向者も少なくなると思う。

ちきりん:大企業は学生をだましてでも入社させればいい。なぜなら「大企業だから」という理由で、入社後はだまされたと分かっても辞めないから。ベンチャー企業だとだまして入社させても、学生は辞めてしまう。なので「会社のことを分かってから来てくれ」といった感じになりますよね。

 大企業に就職すると、親や親戚が寄ってたかって「3年は我慢しなさい」などと言う。なので彼らとしても、入社さえさせればあとはなんとかなると思っているのでしょう。

城:1990年代、大企業を3年以内に辞める人は1〜2%でした。しかし最近は10%を超えているところが多い。全体的に早く辞める傾向がうかがえますね。

ちきりん:企業側からすると、「10%くらいならいいかな」と思っているのでしょうか?

城:そこは微妙なんですよ。外資はついていけない人が辞めますが、日本企業の場合、一番できる人が辞めたりする。「オレはものすごく稼いでいるぞ」という人が辞めてしまうので、会社は困ってしまう。なので年功序列のシステムを変えていかないと、ダメでしょうね。

 →続く

プロフィール:城繁幸(じょう・しげゆき)

 人事コンサルタントを務めるかたわら、人事制度、採用などの各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種メディアで発信中。著作に『若者はなぜ3年で辞めるのか?』『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか−アウトサイダーの時代』『7割は課長にさえなれません 終身雇用の幻想』ほか。

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プロフィール:ちきりん

兵庫県出身。バブル最盛期に証券会社で働く。米国の大学院への留学を経て外資系企業に勤務。2010年秋に退職し“働かない人生”を謳歌中。崩壊前のソビエト連邦など、これまでに約50カ国を旅している。2005年春から“おちゃらけ社会派”と称してブログを開始。近著に『ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法』。Twitterアカウントは「@InsideCHIKIRIN

 →http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/◇Chikirinの日記◆


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