日本型雇用のココが問題――厳しい就活を強いられる学生たちちきりん×城繁幸の会社をちゃかす(4)(2/4 ページ)

» 2011年05月18日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

学生たちの間だけで競争が行われている

城繁幸さん

城:ちきりんさんは今の大学についてどう思われますか? 日本の大学は長く「レジャーランド」と呼ばれてきましたが。

ちきりん:今も大学は「レジャーランド」なんですかね。

城:二極化していますね。ここ5〜6年、勉強する学生はものすごくする。その一方、勉強しない学生はほとんどしない。僕の同期はOB訪問をされまくっているんですが、彼はこのように言っていました。「学生が優秀すぎて、こちらがせつなくなる」と。

ちきりん:ハハハ。

城:学生からはこんな質問があるようです。「私は留学経験があり、こういったビジョンがあります。そして○○賞をもらいました。御社は学生に人気があり、内定をもらうのがものすごく難しい会社です。先輩はどのようにして、内定をもらわれたのでしょうか?」と。困った同期は「安易に答えを求めてはいけない!」と答えるそうです。

ちきりん:ハハハ。

城:その同期は「やっぱり日本型雇用はおかしい」と言っていましたね。さらに「僕のような人間が会社で働いていて、僕よりもっとヒドイのが幹部にいる。その一方で、今の学生が就職するチャンスはものすごく難しくなっている。やっぱり競争は必要だ」などと話していました。

ちきりん:それは昔の人よりも今の人の方が優秀というのではなく、競争が激しいので優秀な人が増えてきたということですか?

城:問題は、今の学生たちの間だけで競争が行われていること。正社員の間ではほとんど競争がないんですよ。僕が大学生だったのは1990年代でしたが、そのころと比べてもかなり優秀な学生が多い。

ちきりん:私の学生時代は1980年代ですが、お話にならないくらい、今の学生の方が優秀ですね。

城:ハハハ。

ちきりん:少なくとも優秀な学生が多いというのは、いい傾向ですね。問題は彼らになかなかチャンスが与えられない仕組みになっていること。

 あと、海外の学生と比べた場合、日本の学生は「建前の世界」で育てられすぎかなと思いますね。米国の学生はアルバイトをしないと生活するのが難しかったりする。銀行からお金を借りている学生も多い。大学に通いながら働いている学生が多いのですが、働くことによって社会の仕組みが分かってくるでしょう。

 例えば大学で働くと、大学の中の仕組みが分かってくる。「教授の生活ってこんな感じなんだ」といったリアルなことも学ぶことができますよね。それを知っているか、知らないかで社会の見え方が違ってきます。特に学校というのは典型的な建前社会。「教授の仕事は研究と教育である」と言っていたりしますが、現実の教授は事務的な書類作成に追われたりしている。

 学生は大人の社会を全然知らないですよね。だからOB訪問でする質問も浮世離れした質問が多い(笑)。

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