柴田文江デザインの美しきリモコン、地デジ版SPIDER PRO(5/9 ページ)

» 2011年05月17日 21時17分 公開
[林信行,エキサイトイズム]
エキサイトイズム

――ということは、柴田さんの関わり方は、ただのカタチのデザインだけではない、ということですね

柴田 これってカタチだけ設計しても済まない仕事じゃないですか。クライアントの考えをデザイナーの視点で、いかに製品を知らない人達に伝えていくかを解釈、翻訳しなければならない。そのための作業がまず必要なんです。なのでモノをつくり始める前に有吉さんとはずいぶんとお話をしました。

――話はスムーズだったんですか?

柴田 ものすごく印象的だったのは、有吉さんがすぐに「何でもできる」っておっしゃるんですよ。そういう人とは仕事したことないので、かなり、怪しい人だと思っていました(笑)

――何でもできるっていうのは、造形上の話ですか?

有吉 いや、可能か不可能かという視点での話ですね(笑)

柴田 私は日ごろ、物をつくっている側にいますが、「何でもできる」って言われることに凄く不安感を持っていて……。海外の工場なんかでも「何でもできる」と言うところに限って、実は何もできなかったりするものだから(笑) そこで「これできますか?」「あれできますか?」って色々、聞いてみると、本当に、あれもやる、これもやると対応してくれたんですよ。そういう意味ではデザインを縛られなかったので、本当にいろんなアイデアが出せてよかったです。

 そこで打ち解けて、「コレで一番、大事なのはカタチではありません」という話と「コレがほかと何が違うか表現していかなくちゃいけない」、そしてそのためにはユーザーとの接点になるインタフェース、つまり「GUIが大事だ」っていうことをお話ししました。

有吉 そうですね。柴田さんに1日あけてもらい、うちのオフィスでエンジニアがコーディングしながら、「ここでアイコンの動きを加速した方がいい」とか指示をしてもらって、その場でGUIを直すんです。

柴田 これが面白くて、すごく難しそうなことがすぐに直るのに、簡単なことが全然、直らなかったりするんですよ。「これ邪魔なので、ちょっと取ってもらっていいですか?」とかいうと、すぐに取れるのに「ここの色を変えてもらえますか?」とかいうと、ものすごく手間取ったりして(笑)

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