「日本売り」の流れもあって冴えない展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年05月17日 16時03分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
前のページへ 1|2       

明日の相場雑感

 米国株が軟調となったことや原子力発電所事故がさらに悪化しているのではないかとの懸念が強まったことなどから売り先行となりました。外資系金融機関が開発・算出している指数から日本株が大量に除外されるとの発表があり、持高調整の売りが懸念されることやアジアの中でも日本の地位が低下しているとの見方もあり冴えない展開となりました。売り一巡感からの買い戻しで堅調となる場面もあったのですが、債券や為替も売られて「日本売り」の様相も見られたことで買い気には乏しく、結局手仕舞い売りもあって軟調となりました。

 海外の金融機関が開発・算出しているMSCI(モルガンスタンレー・キャピタル・インデックス)の標準指数から一気に日本株を20銘柄除外すると発表しました。中国やインドの企業は新たに算出銘柄として採用される銘柄が多く、明らかに世界の株価を語るのに日本のウェイトを下げたという感じです。大震災の影響が大きい銘柄が除外されたわけでも、割高感が強かった銘柄が除外されたわけでもなく、採用基準は今一つよくわかりませんが、「ある一定の基準」に照らしてみると除外することになったということです。

 投資対象として除外されたと言う見方をすると「これ以上の成長が見込まれず、現状がピーク」と言うことなのでしょうが、そういうことでもなさそうであり、同じ業種の中でもどのようにして選ばれたのかも不透明な部分が多いと思います。国債の格付けなども同様ですが、基準がはっきりとせず、乱暴な言い方をすれば「いいかげん」なような感じもします。

 原子力発電所事故での避難の範囲や原子力発電所停止要請などにしても判断基準があまりにもあいまいで、最近はあいまいなものに相場が振りまわされているような気がします。そもそも運用指標となる指数が適切なのかどうか、格付け自体は本当に正当なものなのかなど疑い出したらキリはないのですが、もちろん目先的な需給には影響はあるのでしょうが、自分の投資判断となるものをしっかりと確立できるようにしておくことが、振りまわされずにうまく利用してしまうことにつながるのだと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.