家電芸人、徹子の部屋芸人の迷走――テレ朝に学ぶコンサル的発想(中編)「半農半X」 ビジネスコンサルタントと、農業と……(2/2 ページ)

» 2011年05月17日 08時00分 公開
[荒木亨二,Business Media 誠]
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黒柳徹子にブレが生まれた?

 同じく人気企画の「徹子の部屋芸人」。何度聞いても徹子さんにヤラれた芸人の悲惨なトークは愉快至極であり、友近さんのシミュレーションも回を重ねるごとに完成度が上がり、一見問題ないようだが?

 黒柳徹子さん……、アナタ、そんな感じでしたっけ? 

 続編が生まれても『アメトーーク』に変化はなく、いや笑いは徐々に大きくなっているのだが、反対に、肝心の『徹子の部屋』に異変が生じているように思えて仕方がない。

 内部事情は知らないが、徹子さんは「徹子の部屋芸人」を事前にチェックしていると推測する。彼女本人が見ていないとしても、テレ朝サイドがかいつまんで情報を伝えていると考えるのが普通である。「友近さんがこんな感じでシミュレーションしていました」とか、「こんな話題が出ました」とか。「『アメトーーク』が前振りなら、オチは『徹子の部屋』で……」という流れである。

 さて本番。どうも徹子さんの様子が最近オカシイ。いや、おかしくない、普通どおりに進行していくのだが、事前情報が頭によぎっているのか? 彼女らしい容赦のないシャープさ、突拍子のなさ、いわば“徹子らしさ”が薄まっているように思える。たまに『アメトーーク』で出てきたキーワードを彼女自らポロリと漏らすこともある。

 ちょっとした違和感である。いつもの徹子さんならここで視線が素に戻るだろうというタイミングがコンマ5秒ほど遅かったり、速かったり……。自分のペースで勝手に喋るはずの彼女が、少しだけ相手に合わせてあげたり……。普段ならすぐに打ち切るようなテーマで、意識的に間延びをさせて芸人に笑いのチャンスを用意してあげたり……。

 前振りを学んできた(?)徹子さんを前にして、芸人もとてもやりにくそうだ。「やりにくいのがウリ」だったのに、やりやすく設定されたことで反対にやりにくくなってしまったという珍現象。たまに合う徹子さんの視線と芸人の視線、そこに「お互い何かが違う!」というような哀しみや戸惑いを感じる。

 徹子の部屋芸人が生まれた背景にあるのは、彼女の純粋無垢かつ個性的なキャラクターが芸人をひん死に追い込むこと、そのドキュメンタリー性を笑おうではないかという“子どものような悪だくみ”である。打ち合わせや台本などはないだろうが、前振りの『アメトーーク』がオチをどうにも邪魔してしまっているように感じる。私だけか? これも。

 人気企画の生命線はどこにあるのか。成功したひな形は優秀なビジネスモデル、使い続けたい心理は十分理解できるし、優れたビジネスモデルはなかなか死なないものである。しかし、崩れかけようとするときは必ず、ほんの小さな予兆があり、これを見逃せばせっかくの企画も台無しになる。

 これは『アメトーーク』という1つの番組に限ったことではない……。

 どうやらテレ朝は“戦略修正のタイミング”をはかるのが苦手なようだ。ついつい成功法則を乱用・多用し、むやみに引っ張り、視聴者のココロを置き去りにしてしまうことがある。

 後編では、夜の時間帯をほぼ企業PR一色に塗り替えてしまったテレ朝マーケティングの功罪を見ていく。(荒木News Consulting、荒木亨二)

※この記事は、誠ブログ【テレ朝に学ぶコンサルタント的発想 その2】 シルシルミシルがダメ? なワケ」より転載しています。

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