官房長官の債権放棄発言で一時大幅安清水洋介の「日々是相場」夕刊(1/2 ページ)

» 2011年05月13日 16時06分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

市況概況

日経平均 9648.77円 ▼67.88円
売買高 28億3074万株
売買代金 1兆7980億0400万円
値上がり銘柄 232銘柄
値下がり銘柄 1354銘柄
騰落レシオ 81.28% ▼2.80%

日経平均

中国の利上げの影響を懸念、官房長官の債権放棄発言で一時大幅安

 米国株は堅調、為替も落ち着いていたことや外国人売買動向(市場筋推計、外資系9社ベース)が買い越しと伝えられたことや先物・オプションSQ(特別清算指数)算出に絡む買いも入り、買い先行となりました。ただ、寄り付きの買いが一巡となった後は週末と言うことで手仕舞い売りも嵩み、また、中国利上げの影響を懸念して買い手控えられるなかで上値の重さを嫌気した見切り売りもあって軟調となりました。それでも好決算や好調な業績見通しを示した企業が値ごろ感から買われて堅調となり指数は底堅さも見られました。

 ただ、昼の時間帯に官房長官が電力会社の補償問題で銀行の債権放棄に言及したことから銀行株が売り気配から始まるなど軒並み大きく売られ、相場全体に手仕舞い売りや見切り売りが嵩んで指数も大幅安となりました。売り一巡後は下げ渋りとなりましたが、週末に何が出て来るのかわからないような状況で積極的に買い上がる動きは全く見られず、買い戻し一巡となった銘柄も軟調となるなど冴えないものが多くなりました。ただ、引けを意識する時間帯になると手仕舞いの買い戻しも見られ、下げ幅縮小しての引けとなりました。

 小型銘柄も見きり売りに押されるものが多くほぼ全面安となりました。東証マザーズ指数、日経ジャスダック平均、ジャスダックTOP20は揃って大幅安となりました。先物は官房長官のコメントが伝わった昼ころにまとまった売りが出て指数を押し下げましたが、それ以外にまとまった売り買いはほとんど見られず、指数に方向感を出すような場面はありませんでした。最後は買い戻しも入りましたが週末の持高調整と言うことなのでしょう。

 買い手控え気分が強いだけで決定的な売り要因に乏しかったのですが、決定的な売り要因が出ると一斉に売り急ぐ動きとなりました。昨日の原子力発電所事故の問題や本日の官房長官の発言、先日の原子力発電所停止要請など唐突に何が出て来るかわからず、そんな状況では週末にしっかりと持ち高を増やそうなどと言う向きはほとんどいないと思います。持高調整の売り買いやヘッジ売りが嵩むばかりで、相場の先行きどころか何を見て動けばいいのかもわからないような状況ではないかと思います。週末に何もなければ月曜日はとりあえずヘッジ売りの買い戻しもあるのでしょうが、その後は「何が出るかわからない」と言うことで様子見気分の強い相場展開となって来るのでしょう。政権が代わるかしっかりとリーダーシップを取れる人間が現れるまで「買い難い」状況は続くと思います。

テクニカル分析

日経平均

 遅行線が日々線を割り込み、日々線は基準線を割り込んでかろうじて雲にサポートされました。RSIは上値余地もあったのですが、上昇が止まり、ストキャスティックスは下落が続いて下値余地もあり、雲を割り込みそうです。遅行線が日々線に押さえられながらもう一段下落、日々線は雲を割り込んで雲に押さえられながら調整が続くのだと思います。それでも雲のねじれ当たりでは再度浮上となりそうです。

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