売り先行で始まるも値ごろ感からの買いもあって堅調清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年05月13日 08時35分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>9716.65▼147.61

<TOPIX>849.34▼8.28

<NYダウ>12695.92△65.89

<NASDAQ>2863.04△17.98

<NY為替>80.94▼0.11

芳しくない経済指標や決算発表を受けて売り先行で始まるも値ごろ感からの買いもあって堅調

 朝方発表された新規失業保険申請件数が前週比で減少はしたものの予想よりも悪く、4月の小売売上高も前月比では伸びたものの予想を若干下回るという状況で売り先行となりました。中国の利上げを受けて成長が鈍化するのではないかとの懸念や原油など商品相場が引き続き信用収縮、世界景気の拡大の鈍化などから軟調となったことで、前日の下落に続き冴えない展開となりましたが、原油先物などに買い戻しが入り堅調となると株式市場でも値ごろ感からの買いも見られ堅調となりました。

 景気の回復傾向は続いていると見てもいいのでしょうが、期待したほどは回復していないと言うことなのだと思います。また、企業業績も想定されていたよりも悪いものも見られ、商品相場も上昇が一服傾向にあり、これまでの上昇相場もQE2(量的緩和)後をにらんで変化しているようです。好調な業績への反応も一段落となり「次」を見ての動きとなっており、芳しくない経済指標の発表などもあっていったんは利益を確保しようという動きが強いようです。

 個別には業績予想を引き上げたコールズ(百貨店)が堅調、武田(4502)のスイスの製薬会社買収の話題もあってメルクなど医薬品株が高くなりました。自社株買いを再開すると発表したタイソンフーズも堅調となり、インテルやIBMも値ごろ感や足元の業績期待から買われました。一方、芳しくない決算を発表したシスコシステムズは大幅安、投資判断の引き下げられたゴールドマン・サックスは軟調となりました。欧州金融不安や中国の引き締め懸念などから信用収縮懸念もあり、JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカなど金融株は総じて軟調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株安やユーロ安を受けて売り先行となり、外国人も売り越しと伝えられたこともあり、大幅下落となりました。主力銘柄が好決算を発表して買われ、下げ渋る場面もありましたが、戻りの鈍さを嫌気して売り直され、大幅安となりました。足元の業績が好調でも先行きに対する懸念も根強く、買い戻しは入るものの、最後まで買い上がるような腰の据わった買いも見られず、先物・オプションSQ(特別清算指数)算出に絡む売りも見られ大幅安となりました。

 本日の日本市場は米国株が堅調となったことや為替も落ち着いていることから底堅い堅調な展開が期待されます。先物・オプションのSQ(特別生産指数)算出ですが、売り買いに大きな偏りはないと見られており、特に波乱はないものと思われます。また、原子力発電所事故の悪化懸念も昨日の午後の一段安である程度織り込まれており、週末の手仕舞い売りもあるのでしょうが、特に売り圧力が強いと言うこともないと思われます。決算発表に敏感に反応しながら好業績銘柄を中心に底堅い堅調な展開も期待されます。

 日経平均は9800円〜900円水準が上値となりそうな感じです。好決算への反応も限定的となっており、原子力発電所事故の拡大懸念が根強いなかでは積極的に上値を買い上がり難いと思われ、週末ということもあってヘッジ売りなどに押されて9800円水準を意識するところでは上値も重くなりそうです。中期的に見ても10000円台を固めるには好業績の継続が確認される必要があり、そのためには少なくとも原子力発電所事故の処理が進む必要はありそうです。

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