中国の金融引き締め懸念や芳しくない決算発表を受けて大幅安清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年05月12日 08時39分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>9864.26△45.50

<TOPIX>857.62△1.16

<NYダウ>12630.03▼130.33

<NASDAQ>2845.06▼26.83

<NY為替>81.05△0.69

欧州金融不安や商品相場の下落、中国の金融引き締め懸念や芳しくない決算発表を受けて大幅安

 前日引け後の芳しくない決算発表や連騰の反動から売り先行となり、原油先物価格の下落もあって指数は大きな下落となりました。ギリシャの緊縮財政に反対するストライキやポルトガルの銀行に一段の政府支援が必要と米格付け会社が指摘して欧州金融不安が高まり、信用収縮懸念が強まったことも商品相場の下落や株式市場の手仕舞い売りを急がせる要因となったものと思います。原油先物などに対する証拠金の引き上げなどもあり、根底にはQE2(量的緩和)終了後の過剰流動性の変調を示すものも見られるということなのでしょう。

 米国で金融緩和からの見直しが注目され、欧州では相変わらず金融不安が募り、中国での金融引き締めなどが懸念されると言うことで手仕舞い売りが嵩む展開となりました。今後も世界経済の拡大の中で、企業業績は堅調に推移していくので基調は堅調なのでしょうが、日本の電力不足懸念も含めて、懸念材料もそれなりに山積しており、悪材料をこなしながら、一進一退、二進一退の動きとなってくるのだと思います。

 個別には原油など商品相場の下落を受けてエクソン・モービルやシェブロンなどの石油株、アルコアなどの非鉄株、デュポンなどが軟調、中国の金融引き締め、成長鈍化懸念からキャタピラーも売られました。前日引け後に減益決算を発表したディズニーが大幅安、アップルやGE(ゼネラル・エレクトリック)など景気敏感株も軟調となりました。欧州金融不安や信用収縮懸念からJPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカなど金融株も安く、金先物価格の下落を受けてパブリック・ゴールドも大幅安となりました。一方、予想を上回る決算と増配を発表したメーシーズが大幅高、増配を発表したインテルも高くなりました。政府が保有する普通株を売り出すと発表したAIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)も買われました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株高や円安を好感、また外国人も引き続き買い越しと伝えられたこともあり、買い先行となりました。好決算を発表した銘柄などにも素直に買いが入って指数を押し上げましたが、日経平均が9900円の節目水準を抜けると積極的に買い上がるというよりは早めに利益を確保しようという動きに押されるものが多く、上値の重さが確認されると持高調整の売りや手仕舞い売りも嵩んで上げ幅縮小となりました。中国の経済指標への反応は鈍く特に影響があったということでもなく午後になると動きも鈍く、方向感に乏しい展開でした。

 米国市場が大幅下落、ユーロも軟調となったことから日本市場も売り先行となりそうです。商品相場なども下落となって信用収縮懸念もあり、昨日の相場で上値の重さを確認した感もあり、再度下値を試す動きとなりそうです。決算発表も本格化かしており、想定されていたよりも好調な決算となるものが多いのですが、大震災の影響も否めず、原子力発電所問題の影響も懸念されて先行きに対する不安も強くなっています。好決算を発表した銘柄でも先行きに対する懸念などが示されているものは売りが先行となりそうです。逆に既に先行きに対する懸念などから売られ過ぎた感の強い銘柄は底堅さも見られるのだと思います。

 依然として日経平均は9800円〜900円水準で底値固めとなるのか上値の重さを確認することになるのか方向感がなくなっています。米国株が大幅下落となったことから、本日は再度9800円水準での底堅さを試すことになりそうです。9700円台前半まで下落となるようであれば9800円〜900水準での上値の重さを確認したことになってしまうかもしれません。電力不足に対応する銘柄などが取りざたされれば底堅さも見られるのでしょうし、逆に電力不足懸念に加え、海外要因の懸念材料が取りざたされると決算動向にかかわらず手仕舞い売りがかさんで9800円〜9900円水準での上値の重さが確認されることになるのでしょう。

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