中国の貿易統計の拡大で世界的な景気拡大期待が強まり堅調清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2011年05月11日 08時34分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]

<日経平均>9818.76△24.38

<TOPIX>856.46△3.25

<NYダウ>12760.36△75.68

<NASDAQ>2871.89△28.64

<NY為替>80.88△0.52

中国の貿易統計の拡大で世界的な景気拡大期待が強まり堅調

 QE2(量的緩和)後の引き締め傾向が引き続き気になるところではあるのですが、ギリシャ問題など欧州金融不安に対する懸念が一段落となったことや中国の貿易黒字が拡大、特に輸出が大きく伸びたことなどから世界的な景気拡大を好感して堅調となりました。商品相場も総じて堅調となったことでリスク許容度も上昇、信用収縮懸念も薄れて堅調となりました。ただ、引け後に原油先物取引の証拠金引き上げなどもあり、今後の動向は気になるところです。

 ハイテク企業の大型買収の話題も潤沢な資金、信用拡大の動きにつながり、再編が期待される銘柄や潤沢な資金を抱える企業を物色する動きとなりました。金融緩和解除後の資金の流れが気になるところですが、中国の経済拡大が続いているということで世界的な経済の拡大が継続して、米国企業の業績に対しても不安が少ないようです。ただ、今後は投機的な資金の縮小は見られる可能性もあり、資金の流れには注意が必要だと思います。

 個別にはスカイプ・テクノロジーズを買収すると発表したマイクロソフトは買収負担が懸念されて売られましたが、スカイプ・テクノロジーズは大幅高、連れて資金の潤沢なインテルやニキアなどの通信株が買われ大幅高となりました。信用収縮懸念、欧州金融不安が薄れたことでJPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカ、シティグループなど金融株が堅調、中国の経済拡大が続いていると言うことで、キャタピラーやGE(ゼネラル・エレクトリック)、HP(ヒューレット・パッカード)などが堅調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株高や外国人が買い越しと伝えられたこともあり、買い先行となりました。ただ、円高気味と言うこともあり、寄り付きの買いが一巡となった後は上値の重い冴えない展開となりました。後場に入ってからは好決算の発表などに反応する動きとなり、中国の輸出が好調で経済の拡大は続いていることが確認され、堅調となりました。ただ、最後まで買い上がるような動きは限られ、指数の上値も限定的となりました。

 米国市場が堅調となり、為替も円安となったことから日本市場も堅調な展開が期待されます。好調な決算を発表する企業も多く、好決算を発表しながらも反応の鈍かった銘柄や売られ過ぎ銘柄の修正なども期待されます。原子力発電所などの問題もまだ予断を許さず、中国の景気拡大が順調に進んでいることも昨日の相場で織り込んだ面もあると思われますが、大震災からの復興、工場などの再稼働も進んでいると見られ、見直し買いも期待できそうです。

 昨日の相場で日経平均の9800円〜900円水準での底堅さも少し見えてきたのではないかと思います。原子力発電所事故の進展が見られるまではまだ上値も重く、9800円〜900円水準を抜け切るところまではまだだと思われますが、9800円〜900円水準を固めるような動きは見られると思います。心理的な節目となっている10000円水準を抜けるには原発問題の進展が必要ということでしょう。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.