雄勝町は平時でも「陸の孤島」と呼ばれる地域だ。石巻市街からは30キロ、険しい山道を越えなければたどり着けない。激震のあとで道路網が至る所で寸断されているのは容易に想像がついた。
翌13日午後9時27分。再度Aさんからのメールが着信した。
「TBSラジオで、町内の4500人が避難しているが孤立していると聞きました。高齢者ばかりでそんなにもつかどうか……なんとか救助が早く届いて欲しいと願うしかありません」
筆者は古巣の通信社やテレビ局の友人たちにも情報を求め続けた。だが、芳しい情報は皆無で、じりじりと時間だけが過ぎていったことを今も鮮明に記憶している。
翌14日午後8時46分、三たびメールが届いた。
「相場さん、今家族の無事が確認できました。本当にありがとうございました。水浜〜真野峠を通り石巻へ抜けた模様です。本当にありがとうございました」
このメールをもらう直前、筆者は当ルポでたびたび登場する友人T氏の親族全員の無事が確認されたとの連絡を受け取っていた。Aさんからのメールを受けたあと、被災地に送る物資の調達を始めた。
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