連休前の大幅高の反動や円高、米国株安を受けて大幅下落清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2011年05月06日 16時03分 公開
[清水洋介,Business Media 誠]
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明日の相場雑感

 連休の谷間の月曜日に大幅高となったことの反動や米国株安、円高を嫌気して売り先行となりました。寄り付きから売り気配で始まる銘柄も多く、大幅安の始まりとなりましたが、日本時間になって円高が一服となったことや外国人が買い越し基調と伝えられたことなどから寄り付きの売りが一巡となったあとは底堅さも見られ、大幅安ながらも下げ渋り、指数は小動きとなりました。米国で主要な経済指標の発表を控えた週末、連休の谷間とあって、持高調整の売り買いが一巡となると売り買いともに手控え気分も強く、指数に方向感が見られないと言うことのようです。

 円高と言うことで大きく売られましたが、何度かこのコラムで述べているように円高を材料に売られるのは円高傾向が続き、業績に影響があるという場合であり、輸出企業でなければ直接的には本来、大きな影響があるということでもないはずなのです。しかも大震災の影響、原子力発電所の影響で日本から脱出する外国人が多い状況ではむしろ「日本売り」となる円安を懸念するべきであり、円高=株安と単純に結びつけるのはどうなのかと思います。

 ただ、本日のように海外で商品相場が軟調となっており、米国などでも「安全資産への逃避」が行われている時に大きく円高に振れるということはどういうことなのでしょうか?「リスク回避」として「安全な日本」に資金が向かっているので、円高に振れているというような解説も見られますが、日本が「安全」であり、日本に投資をするのでしょうか?原子力発電所事故の拡大が懸念され、日本から逃げている外国人が多いなかで本当に「日本買い」となるのかどうかはなはだ疑問です。本日は債券が買われ、内需株が買われているので、日本買いと言う可能性もありますが、あくまでも「買い戻し」が中心となっているのではないかと思います。

 毎年この時期にヘッジファンドや年金の6月の決算を控えての手仕舞いが多いことを考えると、株式も債券も売っていたものを買い戻し、円キャリー取引の解消=巻き戻しを行なっているという可能性も考えられます。海外での商品相場などが下落したこともこうした手仕舞いの一環である可能性も高く、海外株安、日本株や債券の買い戻し、商品相場の手仕舞い、などから円で調達した資金を返済しているということも考えられそうです。円高と言う表面的な動きだけでなく、その理由を考えることで円高がいつまで続くのか、一過性のものなのかなども見えて来るのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券、リテラ・クレア証券で相場情報などに携わってきた。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。
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