城:JALはもっと以前に経営が苦しくなったときに、きちんとリストラをしていれば潰れなかったのではないでしょうか。経営陣の給与を引き下げ、パイロットやキャビンアテンダントの給与を引き下げ、OBの年金額を引き下げていれば、潰れる前に再生できたかもしれない。
2010年の大みそかにクビを切られた人たちは、リストラをした際に会社を辞めていれば充実した人生を送ることができたかもしれません。そこそこまとまったお金をもらって、第二の人生をスタートする。JALだけではなく、日本企業の多くは債務超過になって、会社が倒れるようになってやっと従業員をクビにできる。
しかしJALの場合は公的資金が注入されたのでまだまし。額は少ないかもしれませんが、退職金が支払われますから。普通、会社が倒産すれば退職金なんてありませんよ。僕は「裸で路上に放り出される」という表現をしますが、そういう状態にならないと会社は従業員のクビを切れない。労働者にとって会社に体力が残っているうちに辞めるか、すってんてんになって放り出されるか、どちらが幸せなのかを考えた方がいいでしょうね。
ちきりん:もう1回潰れるかもしれませんが、それでも今からでもJALに就職した方がいいかなと思えるくらいの待遇ですよね。そういえば、東京電力もすごく待遇のいい会社でしょ。
城:今年の東京電力の新入社員で、就職を辞退した人はわずか1人。我慢強い人を採用しているのか、他社に就職する気力のない人を採用しているのか――どちらかでしょうね(笑)。
ちきりん:ハハハ。あれだけの大事故を起こしていますが、それでも東京電力に就職する方が“得”だと思っているのかもしれない。
城:サラリーマンの平均年収は400万円ほど。東京電力は社員の年収を2割カットするようですが、それでも平均よりもたくさんもらえる可能性が高い。
ちきりん:東京電力への就職を辞退したりすると、他の企業を受けにいっても「そういう裏切り者のような奴はいらない」といった考えの企業も日本には多そうですね。
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