大企業の正社員、3割は会社を辞めるちきりん×城繁幸の会社をちゃかす(1)(5/7 ページ)

» 2011年05月06日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

7割は幕末の旗本

ちきりん:いい人材が辞めていくということでしょうか?

城:その通りです。残りの7割は幕末の旗本みたいになるのではないでしょうか。

ちきりん:ハハハ。

城:「いざ鎌倉」ではなくて、「薩長が攻めてきたぞー」となれば、夜逃げするようなタイプ。そういったお気楽なサラリーマンが会社に残るでしょうね。

 7割の彼らはこれまでのサラリーマンカルチャーとは異質ですが、見た目はサラリーマンそのもの。今後は、そうした面白い人が増えてくるのではないでしょうか。

ちきりん:そういう会社の経営者は、会社が潰れるまで自分たちの待遇を下げようとしないですよね。それはJALの行動を見ていて、感じました。JALで働く人たちは事実上倒産するまで小売業や飲食業などに比べれば倍ほどの給料をもらっていたんじゃないでしょうか。会社が潰れそうだ……という事態に陥れば、普通は給料水準を大きく下げますよね。

 なのに、JALは赤字だ、売上減だといいながら、せいぜいタクシー送迎を辞めます、というレベル。社員は労組に守られ高額の給料をもらい続けながら潰れてしまった。あれをみて、おそらく多くの大企業は“JAL型パターン”で倒産していくんだろうな、と思いました。会社が潰れたときの社員の平均給与が1500万円みたいな(笑)。

(写真と本文は関係ありません)

城:しかもJALは会社のOBに年金として月20万円以上支払っていた。さらに公的資金を注入してもらって生き残っているんですが、従業員は「不当解雇だ!」などと訴えたりしている。彼らの空気の読めなささは信じられないですよね。

ちきりん:倒産した後の解雇で、不当解雇だといって訴えている人達には年齢の区切りで解雇された人が多いようなんです。ということは、彼らの多くはJALで20〜30年働いてきたわけですが、その間ものすごくいい待遇だったはず。小売業などで働く人の生涯賃金の2倍くらいは既にもらっているのではないでしょうか(笑)。

 それでも「もっともらえるはずだった。会社が潰れたからといって解雇されるのは不当だ」と訴えている。自分が手にしていた給与、またはこれから手にするはずだった給与は何があってももらえるのが当たり前――と考えているのでしょうか。会社が潰れようが「自分のモノは自分のモノ」とでもいうか……。

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